I LOVE...【恋つづ/天堂浬】

30 三角関係 ページ30

「喧嘩というか…、一線引いてきた」



我慢の限界が来ていたのか、来生を前に私はポツリポツリと胸の内を明かした。



「来生も気づいてると思うけど、浬の事好きだった…。でも、浬の中にはいつだってみのりがいて、佐倉さんにだって心を開き始めてて、そんな中、好きでいつづける自信もなくなっちゃってさ…」



服の裾をぎゅっと握りしめて俯き、泣かないように下唇を噛んで我慢した。



「だから、ハッキリと友達だって宣言したら顔合わせるのも気まずくなって…この有様だよね」



あははと笑って誤魔化すと、身体がふわりと何かに包み込まれた。



「…来生？」



気づいたらソファーに座っていた来生が私の事を強く抱きしめていた。



「俺ならAの事傷つけたり泣かせたりなんかしない」



その行動も発言も驚いて声に出さないで居ると、少し身体を離して頬に手を添えられた。



「俺じゃダメかな？」

「来生…」



ゆっくりと近づいてくる来生の顔から目を晒さないでいると、また玄関の呼び鈴が部屋中に鳴り響いた。
そこで、お互いピタリと動きを止めて玄関の方へ視線を向けると、ドアを開ける音が聞こえて誰かが部屋に入って来た。



「…か、いり…」



勝手にリビングまで入って来たのは浬だった。
浬と床で寄り添う私達を見て目を丸くさせたあと、眉間にシワを避けて嫌悪感を剥き出しにした。








＊ーーー＊ーーー＊ーーー＊

第二話終了して次からは三話に突入致します！
一応、来生は佐倉さんのお見舞いには行っていない設定です。

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