I LOVE...【恋つづ/天堂浬】

17 恋人候補 ページ17

「来生どうしよ…。私もうHPゼロだよ…」

「まだこれから仕事だっていうのにどうしたのさ？」



執務室のソファーの背もたれに身体を預けてぐったりする私を見て、マグマカップに注いだホットコーヒーを差し出してくれた。
それを受け取って一口飲んでみるが、朝の疲れは簡単には取れなかった。



「いや、流子さんに朝から色々と質問攻めされて…」

「へー何について？」

「それがさー…」



…、待てよ。

これって簡単に相談できる内容じゃないよね。



自分の気持ちを伝えず、佐倉さんを応援して浬とくっつければ自分の気持ちも晴れて他の人に向けられると思ったけど、意外とそれが辛くって勝手に泣いて、浬に無理矢理キスされて、何故か朝まで一緒のベッドで寝ちゃいましたなんて…。






い、言えない。




「いやー、そろそろ男作ったらー？とかそんな感じで」



あはは、と笑って誤魔化すと、すっと来生が私の横に座って顔を覗き込んできた。



「じゃあ、俺なんかどう？」

「…へ？」

「だから、Aの恋人に」



来生の余りにも真剣な眼差しに目が逸らさない。



「…も、もー！そーゆー冗談はいいから」



空気の重さに耐えきれず笑って来生の肩を叩くと、その手は掴まれてぎゅっと優しく握られた。
これ以上はダメだ、今すぐ手を振り解かないと危険だと、頭の中で警報が鳴り響く。



「あの、き…」

「あれー？君達何してるの？」



その声に驚いて反射的に来生から手を離すと、入り口の所で小石川先生が不思議そうな顔でこちらを見ていた。

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