I LOVE...【恋つづ/天堂浬】

16 誤解 ページ16

これには流石に浬も目が覚めたのか、煩いと不機嫌そうに呟いてゆっくりと寝起きで重たい身体を起こした。



「ななこちゃんが来てたのに、勝手に出て行ったと思ったらAちゃんの所に居たとはね」

「ななこちゃん…？」

「姉貴、また変な誤解されるからやめろ」



頭を抱えて面倒くさそうな顔で流子さんに注意する浬だが、それを無視してどんどん話を進める流子さん。



「あ、ほら、Aちゃんの所に新しく入った勇者ちゃん？だっけ、家がお隣さんだからウチで歓迎会と称して呑んだのよー」

「へー…」



佐倉さん浬の家に上がったんだ…。


いや、流子さんが勝手に上げたから、浬にとっては不可抗力なのかも知れないけど、プライベートの空間にまで居たって考えただけで、またチクッと胸が痛んだ。



「はぁ…、だからこっちに来た」



さっきまでの眠そうな声音と違って、強調するようにそう言ったもんだから、私も流子さんも少し驚いてベッドに座ったままの浬に視線を向けた。



「…後から変に誤解されるのも嫌だから」



それって、佐倉さんと同じ空間に居ないように私に気を使ってこっちに来たってこと…？





そんな都合よく捉えてしまっていいの…？








「何？え？もしかして、二人付き合ってるのー！？」

「ち、違います！付き合ってないです！」


口に手を当てて私達二人を見て、ニヤニヤと勝手に妄想を広げていく流子さん。



「俺走ってくるから、後よろしく」

「え！？」



流子さんの面倒を任されてしまい、浬はいつも通りドライな顔でさっさと家から出て行ってしまった。



「で、浬とどこまで行ったの？」

「だから、誤解ですってばー！」



誰かこの後処理を手伝ってくださーい！！

17 恋人候補→←15 添い寝

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す