I LOVE...【恋つづ/天堂浬】

02 新人=岩石 ページ2

「誰だ？お前」

「えっ！？」

「だから…、誰？」

「あ、あの、ですから5年前…2015年11月23日の夕方から16時頃にですね、神社の近くで渡辺さんを…」



そこまで話しても一向に思い出していない様子の浬を見て、女の子はあれ？と見る見るうちに焦りが混じった表情に変わっていく。



「覚えて…ないですか？」

「…何々？何の騒ぎ？」

「…佐倉さん？」



遠くから唖然とした表情でこちらを見る女の子の同僚と思われる人達。
そこで、この女の子が佐倉さんという名前だと知った。



「…はぁ、新人か…」



佐倉さんの頭から手を離して駆け寄ってきた人達をチラリと見てから、目の前の佐倉さんに向けてため息混じりにそう言い放った。



ああ…、やばい。

浬の不機嫌さがMAXだ。



私の嫌な予感はこのあと的中した。



「いつも流れをせき止めるだけの岩石だな〜」

「かい…っ、て、天堂先生その辺に…」


余りにも目の前にいる佐倉さんがかわいそうで、怒り爆発の浬を止めようとしてみたが、私の言葉はどうやら耳に入っていないらしく、口は閉じる事なくどんどんと酷い言葉が出てくる。



「何故俺に告白をしてる？正気か？…脳波は正常か？」



トントンと佐倉さんの眉間あたりを指で軽く叩く。




「…身の程を知れ、岩石！」



トドメの一言にショックを隠しきれない佐倉さんは唖然と立ち尽くしてしまった。



「…A、いくぞ」

「はーい…」



先導をきって歩き出した浬の後を追いかけるように私もその場を後にした。

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