I LOVE...【恋つづ/天堂浬】

09 消えた少女 ページ9

次の日の夜、家で録画して溜めていたドラマなどを観ていると、仕事用の携帯が突然鳴り出した。
よっぽどの事がない限り鳴らないから、慌てて携帯の画面を見ると、着信相手は今一番気まずい浬から。
仕事が絡んでいる以上、電話を無視する事は出来ず勇気を出して通話ボタンを押した。



「…お疲れ様です」

『悪い、オフなのに電話して』



電話越しに少し息を切らして申し訳なさそうに謝る浬。



『杏里ちゃんが居なくなった』

「え？杏里ちゃんが…？」

『多分、明日退院だったのに、俺が検査結果を見て退院を見送りにしたのがショックだったみたいで…っ』



しっかり者の杏里ちゃんだから、退院が見送られても大丈夫だと誰もが安心していたけれど、それでもまだ子供だ。
合唱コンクールだって楽しみにして、早く学校に戻りたいと話していたから余計にショックだったに違いない。



「私も今すぐそっちに行く」

『わかった。もし見つかったら連絡する』



電話を切って近くの服を適当にかき集め、その中から着替えを済ませて私は慌てて家を飛び出した。
ここから病院まで走れば数分で着けるはず。
お願いだから、杏里ちゃん変な事は考えないで…。




ーーーーー




病院に着くと浬から電話が入った。



『小児科の非常扉！今俺も向かってる！』

「わかった！」



それだけ伝えられ、目の前のエレベーターに乗り上の階へと上がる。
乗っている間がもどかしかって早く早くと呟きながらソワソワしていると、エレベーターから到着音が鳴りドアも完全に開いていない状態で飛び出した
目的地の非常扉前に着くと、私が開ける前に中からドアが開いた。



「あ、杏里ちゃん！？」



車椅子に乗せられて泣きじゃくっている杏里ちゃんと、その椅子を引いていた看護師さんと結城先生と鉢合わせになった。

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