終わらない夏ー完結ー (ページ5)

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05 嬉しい言葉ページ5

「いや、そんな頬つねらんでも本物やけど？」

「本当に、本物…！？」

「なに？俺の事知っとんの？」

「知ってるもなにも大好きです！！ずっと前から見てました！！」

静かな館内で叫んでしまったものだから、周りにいた数少ない人達の視線が一斉に集まった。

「あ、いや、好きといってもファンの中の一人という意味で…」

次は注意してヒカルさんに聞こえる程度の小声でそう伝えると、既にヒカルさんはお腹を抱えて吹き出して笑っていた。
どこにツボが入ったのかはわからないが、何故か涙目でヒーヒー言っている。

「あー、ごめんごめん。いや、顔真っ赤にして言ってるのがかわええと思って」

「！？」

あのヒカルさんに可愛いなんて言われた！
今日まで生きてて良かった！神様ありがとう！

と、私は心の中でガッツポーズを決めた。

「てか、ホンマにクリーニング代とかはいらんから」

「でも…」

流石にそれは申し訳なさすぎて気が引けるが…、

「ダイナーのチケットお持ちの方はご入場手続きお願い致します」

係員さんの呼び出しマイクが、館内のスピーカーから流れ出した。
それに反応して、近くの人達がぞろぞろと入場口に向かって歩き出した。

「ほら、観るんやろ？俺はもう観たし帰るから」

洋服を気にしている私に、行っといでと頭をポンポンと優しく撫でてくれた。