終わらない夏ー完結ー (ページ15)

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15 確信ページ15

「姫路の花火大会って行ったことあります？海の上で大きなのが打ち上げられるんですけど」

そう嬉しそうに話す彼女とは裏腹に、俺は姫路の花火大会というワードに心臓が五月蝿く鳴り始めた。

「その時はお婆ちゃんの家に遊びに何日か泊まりで行ってて、その時地元に住んでる男の子と仲良くなって…」

「地元の男の子…？」

正直、彼女の社員証を拾った時、名前や雰囲気が一緒でも他人の空似だと思ってた。
けど、ここまで来ると偶然と済ませられるのだろうか。
もしかして、彼女は本当にあの時の…。

「ヒカルさん？どうかしました？」

「何でも…」

…無くは、ない。
でも、このまま核心に迫っていいものなのか。
もし、本当にあの女の子が目の前にいる彼女だとしたら、俺はどうすればいいんだ。
ずっと忘れられなかった、好きだ、そう伝えても気持ちが通じ合える保証なんてどこにもない。
そもそも、彼女があの時の男の子が俺だと信じてくれるのか？

「もしかして、具合でも悪いんですか…？」

「…いや、全然。ちょっと考え事してただけ」

これ以上考えても仕方がないし、彼女に余計な心配もかけたくない。
俺は未だに鼓動が早い心臓を少しでも落ち着かせようと、一呼吸置いてから自分のペースでゆっくりと口を開いた。

「あのさ、その男の子の名前とか覚えとるん？」

「え？何でですか？」

「いや、地元も一緒で俺と歳近いなら知ってるやつかなーと思って」

これなら、彼女に変に怪しまれる事もない質問だ。
彼女は俺の質問に対して少し考え込んだ。