キミだけのonly one ー完結ー (ページ8)

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08 緊張の夜ページ8

「や、あの！」

状況をうまく飲み込めていない私を無視し、彼は平然と私に背を向けて横で寝始めた。
確かにベットはセミダブルだから、隣同士で寝てもシングルと比べればすごく寝づらいという事は無いけど…。
だからと言って、さっき出会ったばかりの人と一緒に寝る事に抵抗があった。

「安心しろ。流石に具合悪いのに襲う元気は無いから」

「！！」

私の考えを見抜いたかのような発言に、恥ずかしさで顔がかーっと熱くなった。

「ぜ、絶対変な事しないでくださいよ！」

「何？それ逆に煽ってるん？」

「煽ってません！！」

キッと睨みを利かせて怒ると、彼はまた頭を痛いアピールをして来た。
それを見て私は更に出かけた言葉をぐっと飲み込んだ。

ー…変な事言ってきたのそっちじゃんか！

怒りたい気持ちを何とか鎮めて、私も彼に背を向けて毛布を掛けて横になった。
多少スペースがあるとはいえ、枕も一つで同じベット。
お互い枕の端に頭を寝かせているため、背中同士が少しくっついている。
男の人と寝ることは初めてじゃ無いのに、あまり知らない彼と寝ている緊張で中々寝付けない。

(…ドクン、ドクン)

心臓の音もうるさくって、背中越しに彼に伝わらないか心配しながらも、自然と訪れた睡魔にわたしは簡単に意識を手放した。