キミだけのonly one ー完結ー (ページ3)

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03 キミの温もりページ3

こめかみから流れ落ちる汗も手の甲で拭きあげ、さっきまで被っていなかった変装用の黒のキャップを暑いと一言言って取り外した。
そこからふわりと現れた彼のトレードマークでもある金と黒のツートンカラーが、陽の光に照らされてキラキラと光る。

「…なんで、あの人達は？」

「…っ、あの二人には先に帰って貰った。それに、そっちがいきなり逃げるから…っ」

相当走ったのが疲れたのか、その場に勢いよくしゃがみ込んだヒカル。重そうなレザーのリュックからドサっと音がした。

「久々にこんな走ったわ…っ。あー、マジでしんどい…っ」

「…っ、追いかけてきて欲しくなかった」

この期に及んで、私の口からは気持ちと裏腹に憎まれ口しか出てこなかった。
私の絞り出した声に、ヒカルは眉をひそめて顔だけを私に向けた。

「じゃあ、何で泣きそうなんだよ」

「…っ！」

図星を突かれて言い返す言葉も出てこない。

「これは…っ」

戸惑っている私を他所に、ヒカルは重い腰を上げて私の腕を掴んだと思いきや、自分の方へとぐっと引き寄せた。

「俺はお前の事忘れたことなんて一度もないから」

そう、私を強く抱き締め、背中に回された彼の腕により一層力が入った気がした。
まるで、私を腕の中に閉じ込めるかのように…。