キミだけのonly one ー完結ー (ページ18)

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18 拒絶ページ18

目が覚めると真っ暗な自室のベッドの上で、部屋着にも着替えずそのままで寝ていた。
鏡を見なくても、折角気合を入れてセットした髪や顔は涙でぐちゃぐちゃなのは分かった。
瞼が腫れて重い、泣きすぎて頭痛も酷い。

「…」

その場に起き上がって、ベッドの隅に追いやられていたケータイを手に取ると、着信履歴やLINEの通知が凄いことになっていた。
数十件ある通知は全て一人からのもの。

「…ヒカル…なんで…」

通知の内容も開かないまま、私は携帯を枕元に投げ捨てた。

ーーー

あの後、私はヒカルの顔が見たくなくってその場から逃げ出した。

「A待って！」

後ろからは私の名前を呼んで追いかけてくるヒカル。それを無視し、ヒールのある重たいブーツで休まず走り続けて、駅前のタクシー乗り場で止まっていた個人タクシーに慌てて乗り込んだ。

「お客さん、どちらまで？」

「…ー駅まで向かってください」

自分の家の最寄駅を告げると、運転手さんは分かったのか車を出した。
それと同時に、手に持っていた携帯が震える。
恐る恐る画面を見ると、ヒカルからの電話。
私は電話に出る事はせず、力一杯電源ボタンを長押しして携帯本体の電源を消した。

どうしてこうなったの。

ただヒカルと二人で誕生日を過ごすはずだったのに。

それが、なんで…。

顔を俯かせ、目の前にあるワンピースの裾を握りしめた。

『ヒカルはみーんなのものだよ？』

ふと頭によぎったのは彼女の言葉。

ああ、そうか、私は別にヒカルの沢山の女の子中の一人にしか過ぎなくって、誕生日に会ってくれるからって自分が少しでも特別な存在なんだと思っていただけ…。

なんだ、答えはこんなにも簡単だったんだ。

ーーー

この日を境に、私はヒカルと連絡を取るのをやめた。
LINEもブロックし、着信も拒否して、家も更新を機に引っ越した。
結局、ヒカルから送られてきていたLINEの文面も見るのが怖くって、見ないままトーク履歴は消した。
繋がりという繋がりを全て断ち切って、私の中であの数日間の出来事は夢だったんだといい聞かせたのに…、それなのに、何故今頃になってまた再会してしまったんだろう。

神様はつくづく意地悪なのかもしれない。