キミだけのonly one ー完結ー (ページ15)

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15 空気が変わる瞬間ページ15

「ご馳走様でした」

お店の外を出て後から出てきたヒカルに改めてお礼を言った。

「ええって、また一緒に食べに来ようや」

「うん！私も美味しいお店知ってるから今度そこも行こ！」

次の約束もしつつ、私達はお店の人が呼んでくれたタクシーを待った。
私は電車で帰ると言ったのだが、自分が呼ぶついでにと私の分まで呼んでくれた。
お酒も結構飲んでほろ酔い気分だし、たまにはタクシーで帰るのもいいかも。

「また帰ったら動画の編集とかあるの？」

「いや、事務所で仕事の打ち合わせ的な感じやな」

「え、時間大丈夫！？」

自分の腕時計を見ると、時刻は20時になろうとしていた。

「ああ、別に平気やって、さっきマネージャーには今から向かうって連絡入れといたから」

「ヒカルが大丈夫ならいいんだけど…」

そう言うと、横にいたヒカルが私の頭の上にぽんっと優しく手を置いた。

「ほんまは家まで送ってやりたいけど」

「大丈夫だよ、タクシーで真っ直ぐ帰るから」

「いや、送る時間くらいはあるんやけど、送ったら家にまで上がって仕事行くの嫌になりそうで」

「え！」

ぼっと顔が熱くなった。
横のヒカルは至って真顔でそんな事言うものだから、本気なのか冗談なのかもわからないけど、冗談だとしてもこっちとしては恥ずかしい台詞だ。

「まぁ、この間は酔ってたけど、素面だとほんま何するかわからんからか」

私の反応を楽しむかのように、ヒカルはニヤニヤと意地悪な発言をした。

まるで小学生のいじめっ子か何かかこの人！

「どうせ他の女の子にもそう言ってるんでしょ」

実際、動画を見る限り女の子には不自由してなさそうだし。

すると、横から腰に腕を回されて力強く引かれた。