家出、助けます。3【梵天】

悲痛 ページ38

駐車場に停めた自分の車に乗り込み、
こちらも急発進させた三途。
とりあえず車が逃げた方角へ走らせると、
すぐに九井からの指示が飛んできた。






まさに血眼になってワンボックスカーを探しながら
恐ろしいスピードで運転していれば、
九井の的確すぎる指示により、
前方にそれらしき車を捉えた。






春 「よし、いやがった！
この俺の前で連れ去っといて、
逃げ切れると思うなよ、ドブカスが…！


灰谷弟！今どこだ！」






竜 「お前の車の後方300m！」






九 「竜胆は次の交差点左に曲がれ。
三途はそのまま後ろにつけろ。高速に乗せるなよ。
その先の埠頭に追い込む！」






三途の車はさらにスピードを上げて
ついにワンボックスカーに追いつき、
竜胆も少ししてから2台の車を左に捉えた。






横からいきなり目の前に現れた竜胆の車に、
Aを乗せた車は急ハンドルを切って、
九井の目論見通り、廃倉庫が並ぶ埠頭へ。






人気のないそこで
ついに三途と竜胆は拳銃を取り出し、
運転手を狙う。
後部座席にいるであろう、彼女に当たらないように。





しかし狙える角度が限られ、
動く的相手、しかも反撃してくる相手では、
なかなか思うようにいかずにいた。





そこで竜胆が拳銃を替えて
タイヤを撃ち抜く。
そして蛇行しながらも走り続けるので、
三途が車体をぶつけて倉庫に車を衝突させると、
ようやく停車した問題の車。





少し離れて三途と竜胆も車を停めて様子を伺うが、
誰も出て来ない。
窓はスモークガラスで中の様子が分からない。






竜 「テメェ、ヤクキメてんのか？！
Aちゃんが怪我したらどうするんだ！！」





春 「あァ？！
お陰で車停まったろーが！！
中で何が起こってっかわかんねェんだから、
とにかく早く止めたほうがいいだろうが、クラゲ野郎！」






九 「おいコラ、テメェら！
ガキの遠足じゃねぇんだ、
口喧嘩はAの安全を確保してからやれ！」






すると、後部座席から九井の部下が頭から血を流しつつ、
Aを引き摺って出て来た。
そのこめかみには、拳銃が突きつけられている。






すぐに車体の陰に身を隠せば、
三途のサイドミラーに弾丸が命中した。






部 「クソ、外したか。
よくもやってくれたな…！
オイ、この女がどうなってもいいのか！！」

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