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Aと一緒に寝室を出る。
何故かキッチンスペースに、お邪魔します、と言って
そっと足を進めていたが、
冷蔵庫の中身を確認する時には、
一気に真剣な顔つきになる彼女。
それをカウンターの向こうからぼんやり見つめていた。
『すごいね、十分過ぎるくらいだよ。
ホームパーティーが出来ちゃいそう。
ココくんって、お料理するの?』
九 「しねぇよ。
誰かさんの作るメシが食いたくて、
昨日の夜に全部揃えたんだよ。」
『えっ…、ふふっ、嬉しい。
普通の家庭料理なんだけどね。
ありがとう。
それに、さすがに景気付けにって言われたのは
初めてだったなぁ。』
あぁ、三途がそんなこと言ってたな…。
九 「……。」
『……ココくん?』
手を洗うAの後ろに立つ。
洗い終え、振り返った瞬間、
彼女の両脇に手をついた。
九 「三途があんな風に手料理を褒めんのは
かなり珍しいからなー。」
『え、あの…。』
九 「嬉しかったか?褒められて。」
『なんか、笑顔が怖いんですけど……。』
九 「お、さすが優秀な秘書は
空気を読むのが上手いな。
さ、どうしたら、上司の機嫌が直るかも分かるだろ?」
どんどん顔を近づけていく。
あと数cmで唇が触れる距離で止まり、
彼女の反応を待つ。
すると、
『よしよし。
いつもお仕事頑張ってて偉いね。』
俺の頭に、ポンポンと触れて、
優しい笑顔でそう言ったA。
『今日はココくんだけの為に、
腕によりをかけてお昼ご飯作るよ。』
子供騙しみたいなその台詞が、
何故か沁みて。
俺は彼女の肩に頭を預けた。
九 「……A、もっと…、頭。」
『うん…!ふふっ…、よしよし…。』
しばらくそうしていたけど、
彼女から離れようとすることはなく、
ずっと優しく撫でてくれた。
九 「…ん、腹減った。
向こうで待ってる。」
『うん。じゃあ、頑張って美味しいの作るからね。』
ようやく身体を離した俺を優しく見つめる彼女。
他人に甘えるなんていつぶりだろう。
何だか恥ずかしくなって、
逃げるようにソファに向かった。
その後、彼女が作ってくれたメシを食べて、
他愛のない話をした。
相変わらずメシは美味くて、どこか温かくて。
やっぱり三途なんかには知られたくなかった、
俺が独占したかった、と思わずにはいられなかった。
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きりん。(プロフ) - yumさん» この春千夜は、好きになっちゃいますよね。作者ですらそう思います。笑 嬉しいお言葉、ありがとうございます! (2022年12月7日 21時) (レス) id: c098a97284 (このIDを非表示/違反報告)
yum - いや、もう、マジで神です。春千夜、、、ヤバい、カッコよすぎる。きりん。さん天才すぎます。語彙力ゴミですみません💦 (2022年12月7日 19時) (レス) @page50 id: 078a32e2da (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月??_低浮上_さん» 可愛いですね!ほっこりしました(^^) (2022年12月7日 19時) (レス) id: c098a97284 (このIDを非表示/違反報告)
紫月??_低浮上_(プロフ) - きりん。さん» ʕ•ﻌ•ʔฅ´- はい! (2022年12月7日 14時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月??_低浮上_さん» 実は、私的にはさらに甘い展開を、この後ご用意しております!ぜひお楽しみに! (2022年12月7日 14時) (レス) id: c098a97284 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん。 | 作成日時:2022年11月25日 19時