. ページ49
そしてお医者さんは、
点滴の交換を始めながら、
こちらを見ずに話し続ける。
医 「あぁ。
もしかしたら、これから痛みが出てくるかもしれません。
今までの点滴には痛み止めが入っていたのですが、
今度のものにはもう入っていないので。」
春 「……入れとけよ。」
医 「これが終わったら点滴を外そうと思っているので、
必要であれば飲み薬で処方しますよ。
痛みが強い時は言ってください。」
お医者さんは点滴を換え終えると、
滴下の速度を調整して、
腕に巻かれた血圧計を外した。
医 「……心電図も外しますけど、前…、宜しいです?」
『あっ…、はい。』
春 「宜しくねぇよ。オレが外しとく。
ただこれ剥がせばいいんだろ。
他に用がねェなら、さっさと出て行け。」
春千夜さんは、
私の身体から伸びる心電図のモニターの3本の線を
軽く引っ張ってそう言った。
お医者さんは苦笑いして一度頭を下げてから部屋を出て行った。
春 「やっと行ったか。
ほら、外してやる。
前、開けよ。」
『あっ、あの……、自分で…、』
春 「あ?」
『すみません、ひ、開きます……。』
私は浴衣のような病衣を着ていて、
その襟元に手をかけ、ほんの少し開いた。
痺れを切らした彼が
片側をぐっと下ろし、肩から胸元にかけて露わに。
何故か下着をつけていない私はプチパニック。
『え?!きゃっ…!
待っ、待って、春千夜さんっ……!』
春 「……綺麗だな。」
『え……?』
肩から鎖骨にかけてじっと見つめながら
なぞるように触れる春千夜さん。
その目は、私を愛しいと言っているようで、
抗議の声を上げるのも忘れ、
その目に釘付けになった。
春 「そのままにしてろよ?」
『は…、い……。』
そして、彼は私の鎖骨を撫でてから
ゆっくり顔を近づけ、
触れるだけのキスを落とし、首筋に顔を埋めた。
春 「A。」
なんて切ない声で呼ぶんだろう…。
彼らしくない、縋るような声に、
返事が遅れる。
『………はい。』
春 「もう二度と傷付けさせたりしねェ。
……俺の傍にいろよ。」
首筋から顔を離して、
私の目を真っ直ぐ見つめる
薄い水色のような美しい色の瞳に捉われて、動けない。
春 「お前が好きだ。」
444人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きりん。(プロフ) - yumさん» この春千夜は、好きになっちゃいますよね。作者ですらそう思います。笑 嬉しいお言葉、ありがとうございます! (2022年12月7日 21時) (レス) id: c098a97284 (このIDを非表示/違反報告)
yum - いや、もう、マジで神です。春千夜、、、ヤバい、カッコよすぎる。きりん。さん天才すぎます。語彙力ゴミですみません💦 (2022年12月7日 19時) (レス) @page50 id: 078a32e2da (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月??_低浮上_さん» 可愛いですね!ほっこりしました(^^) (2022年12月7日 19時) (レス) id: c098a97284 (このIDを非表示/違反報告)
紫月??_低浮上_(プロフ) - きりん。さん» ʕ•ﻌ•ʔฅ´- はい! (2022年12月7日 14時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月??_低浮上_さん» 実は、私的にはさらに甘い展開を、この後ご用意しております!ぜひお楽しみに! (2022年12月7日 14時) (レス) id: c098a97284 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きりん。 | 作成日時:2022年11月25日 19時