. ページ18
アジトに戻ったが、
Aちゃんも、ココもいなかった。
たまたま鶴蝶がいて、
ココはある企業との取引を切りに行ったことを知る。
昨日の幹部会で怪しいと言っていた企業。
そんな所に、
しかも相手にとって悪い話をしに行く時に、
彼女を連れていくはずはない。
やっぱりこんな時間だし、
家に帰ってるよな…。
とりあえず行ってみるか?
ただ、彼女のマンションはセキュリティががっちりで、
そう簡単には入れない。
……まぁ、面倒だが、入れないこともないけど。
また任務に出るという鶴蝶を見ながら
ダメ元でもう一度電話してみた。
すると、長いコール音の後、やっと繋がった。
竜 「良かった……。
もしもし、Aちゃん?
ごめん、寝てた?」
『りんど…、くん…?』
やっと聞こえた彼女の声は、
俺が期待していた鈴の鳴るようなそれではなかった。
ただの寝起きとは違うような、
怯えるような弱々しい声。
一度消えてくれた嫌な予感がまた膨らんでいく。
竜 「……Aちゃん?
竜胆くんだよ。
今どこにいるの?」
『……どこ……?
あ…、おうち、だよ。
…っ!
…ごめん、あの、ねぼけてて…。』
話の途中で、小さな悲鳴のようなものが聞こえた。
おそらく、手で口を押さえたんだろう。
竜 「……どした?
何かあった?」
『……ううん、なんでもないよ。
りんどうくんは…、』
竜 「Aちゃん。
何でもなくないよね?
どんな事でもいいよ、言ってごらん。
全部聞いてあげたいって言ったの覚えてる?」
『……おぼえてるっ……、
りん、ど、く…、
おねがっ…ぃ…、たす、けてっ……。』
涙声が混じった絞り出すような声に、
急いでエレベーターに向かう。
鶴蝶がついさっき降りたから、
当たり前だが今は一階に止まっていた。
何があったのかは分からないが、
このまま電話で聞くのではなく、
とにかくAちゃんの所に行かなきゃいけないと
反射的に思った。
チッ、エレベーター遅ぇな、早く来い……!
竜 「ん。今からそっち行くから、
このまま電話繋いでおこうな?
マンションに着いたら言うから、
そしたらエントランスとエレベーターホールの
セキュリティだけ外してくれる?」
『うん……、うんっ…。』
444人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きりん。(プロフ) - yumさん» この春千夜は、好きになっちゃいますよね。作者ですらそう思います。笑 嬉しいお言葉、ありがとうございます! (2022年12月7日 21時) (レス) id: c098a97284 (このIDを非表示/違反報告)
yum - いや、もう、マジで神です。春千夜、、、ヤバい、カッコよすぎる。きりん。さん天才すぎます。語彙力ゴミですみません💦 (2022年12月7日 19時) (レス) @page50 id: 078a32e2da (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月??_低浮上_さん» 可愛いですね!ほっこりしました(^^) (2022年12月7日 19時) (レス) id: c098a97284 (このIDを非表示/違反報告)
紫月??_低浮上_(プロフ) - きりん。さん» ʕ•ﻌ•ʔฅ´- はい! (2022年12月7日 14時) (レス) id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん。(プロフ) - 紫月??_低浮上_さん» 実は、私的にはさらに甘い展開を、この後ご用意しております!ぜひお楽しみに! (2022年12月7日 14時) (レス) id: c098a97284 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きりん。 | 作成日時:2022年11月25日 19時