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タクシーはすぐに捕まった。
ドアが開いて、
優しそうな運転手さんが、どうぞー、と
穏やかに声をかけてくれた。
息切れしたまま、お願いします、と言い、
身体を少し屈め、開いたドアから片足を車内に入れようとした、
その時。
誰かが後ろから私の身体に片手を回した。
私の頭上辺りの車体をもう一方の手が掴んでおり、倒れないように支えている。
そして、私を少し後ろに引き寄せた。
引き寄せられた瞬間に香る、
大好きな人の匂い。
しかし今日は、甘い匂いが混ざっていて泣きたくなる。
その人は一度大きく息を吐き、
運転手さんに向かって、
九 「悪ィけど…、乗らねェから行ってくれ。」
と言った。
運転手さんは、穏やかに笑って、
またお願いします、と言うと、車を出して行ってしまった。
「何で、勝手に行かせるの…。
私が乗るタクシーだったのに…。」
九 「A。」
「何で追いかけてきたの…?
すごく…、お似合い…だったよ、
隣に、いた人…。」
九 「A。こっち向いて?」
「ごめん、ね…、じゃま、しちゃって。
もう、しないから…。
早く…、行って、あげなよ…、
きっと、待ってる、あの、綺麗な人…。」
九 「A、頼むから。こっち向いて、話聞いて。」
「ごめ、んね…、今まで…。
わ、わたし、みたいなのに…、
つき、合わせちゃって…。
も…う、いいよ、今まで、ありが…、」
九 「それ以上言ったら許さねェ。」
いつもより低い声と剣呑な口調に、
身体がビクッと震える。
それは、彼が私に対して初めて怒りの感情を向けた瞬間だった。
何とも言えない重い空気が流れる。
沈黙を破ったのは、私でもココくんでもなかった。
麗 「あっ!
あんた、ココちゃんの彼女面してる地味女ね!」
三 「おい、麗華、やめろって。」
麗 「あんたみたいな一般人、ココちゃんが本気になる訳ないでしょ?
分かったらさっさと消え…、」
九 「消えるのはお前だ。
気安く人の女に話しかけンじゃねェ。
黙って聞いてりゃいい気になりやがって…。
二度と俺の前に現れンな。
オイ、さっさと連れてけ、三途。」
三途さんは、あぁ、と頷くと
顔を赤くして怒っている女性を連れて
去って行った。
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!? - 笑い方が「くくっ」なの可愛いですね。 これからも応援してます! (5時間前) (レス) @page50 id: 37f7d05f89 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - 結菜さん» こんばんは!お返事が遅くなり申し訳ありません。結菜さん、コメントありがとうございます(^^)こちらは作者の処女作でございますので、拙い所が多かったかと思いますが、そんな風に喜んでいただけて、こちらこそ感謝です♡これからも頑張りますね! (5月4日 22時) (レス) @page6 id: 6b6f0eef09 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - こんばんは! 私初めてきりんさんのを読みました私ココの夢小説を初めて見たのがきりんさんで、すごくドキドキが止まりませんでした🥹この小説を書いてくれたきりんさんに感謝です!最後ココと結婚できて幸せでした^_^これからも頑張ってくださいね😁 (2023年5月3日 19時) (レス) @page50 id: 095a959140 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - 春姫さん» 春姫さん、初めまして!この度は私の作品に目を止めて頂き、キュンキュンしていただき、ありがとうございます♡理想以上なんて、感激です!他の作品も甘めな仕上がりでございますので、ぜひぜひ♡まだまだ拙い所が多いですが、頑張りますのでどうぞご贔屓に♡ (2023年2月6日 1時) (レス) id: b6f0d8e87f (このIDを非表示/違反報告)
春姫(プロフ) - はじめまして。凄く素敵な作品で、読むのを止めることが出来ずに一気読みしてしまいました!甘々なココ、危ない時に守って欲しい、梵天メンバーとのやり取り…など、自分の理想以上の展開でとてもキュンキュンしました!!きりんさんの他の作品もまた読ませて頂きます♡ (2023年2月6日 0時) (レス) id: 0a738029e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん。 | 作成日時:2022年11月5日 18時