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流れるように手当てしてくれていたAちゃんは、
ガーゼを落とした。
「あ、新しいの、出してきます。」
新しいガーゼを取りに行こうと立ち上がる彼女。
腕を掴んで引き留める。
竜 「待ってよ、…A。俺、お前のこと…。」
「竜胆さん。」
俺をまっすぐ見つめ、
いつもの呼び方で呼ぶAちゃん。
竜 「…なに?」
また冗談だと言われるのだろうか。
それとも…。
「そういうことは…、
領収書をきちんと提出できるようになってから言いましょう。ね?」
竜 「は…?領収書?」
少し張り詰めたような空気が消え、
部屋に響く俺の間の抜けた声。
「そう、領収書。
ココくんが、お2人の領収書は滅茶苦茶だ、って。
私の大切な人、困らせちゃ駄目っ!ふふっ。」
竜 「…まいったな。」
完敗だ。
かわされた上に、釘まで刺された。
自分は九井が大切だ、と。
何かがストンと落ちるような、そんな気分になった。
「ごめんね?竜胆さん。ちょっと待ってて下さいね。」
彼女は今度こそガーゼを取りに行き、
手当ての続きをしてくれた。
竜 「なァ、ココのどこが好きなの?」
「え?!そんなの内緒です!」
竜 「いいじゃん、教えてよ。」
その時、俺の後ろのドアが、ガチャッと開いた。
驚いて振り返ると、そこに立っていたのは…
九 「面白そうな話してンな。俺も混ぜてくれよ。」
「え?!ココくん!」
九 「よォ、竜胆。
んで?A、俺のどこが好きなの?」
「だ、だから、内緒、だってば…。」
ココの登場に、花が咲くような笑顔を見せた彼女。
さらにココの一言で、一気にオンナの顔に。
初めて見たその表情に、
改めて、自分の気持ちに諦めがついた。
目の前では、ココが彼女を揶揄っていて、
あほらし、帰ろ。と、立ち上がる。
九 「オイ、竜胆。
いいモン聞けた。ありがとな?」
コイツ、全部聴いてたな…!
竜 「…はっ、せいぜい奪られないようにしろよ。
なんたって…、」
グイッ、…チュッ。
竜 「俺が惚れるほどのいい女なんだからな?
Aちゃん、ご馳走様ー。」
「ほ、ほっぺ…。」
九 「てンめェ…許さねェ!
待て、このクラゲ!!」
「わー、静かに!静かにして!
夜だから、響くからー!」
俺はAちゃんがココを宥めている間にホテルを後にした。
竜 (おもしろ。また揶揄いに来よ。)
九 (竜胆、マジで殺す。)
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!? - 笑い方が「くくっ」なの可愛いですね。 これからも応援してます! (4時間前) (レス) @page50 id: 37f7d05f89 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - 結菜さん» こんばんは!お返事が遅くなり申し訳ありません。結菜さん、コメントありがとうございます(^^)こちらは作者の処女作でございますので、拙い所が多かったかと思いますが、そんな風に喜んでいただけて、こちらこそ感謝です♡これからも頑張りますね! (5月4日 22時) (レス) @page6 id: 6b6f0eef09 (このIDを非表示/違反報告)
結菜 - こんばんは! 私初めてきりんさんのを読みました私ココの夢小説を初めて見たのがきりんさんで、すごくドキドキが止まりませんでした🥹この小説を書いてくれたきりんさんに感謝です!最後ココと結婚できて幸せでした^_^これからも頑張ってくださいね😁 (2023年5月3日 19時) (レス) @page50 id: 095a959140 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - 春姫さん» 春姫さん、初めまして!この度は私の作品に目を止めて頂き、キュンキュンしていただき、ありがとうございます♡理想以上なんて、感激です!他の作品も甘めな仕上がりでございますので、ぜひぜひ♡まだまだ拙い所が多いですが、頑張りますのでどうぞご贔屓に♡ (2023年2月6日 1時) (レス) id: b6f0d8e87f (このIDを非表示/違反報告)
春姫(プロフ) - はじめまして。凄く素敵な作品で、読むのを止めることが出来ずに一気読みしてしまいました!甘々なココ、危ない時に守って欲しい、梵天メンバーとのやり取り…など、自分の理想以上の展開でとてもキュンキュンしました!!きりんさんの他の作品もまた読ませて頂きます♡ (2023年2月6日 0時) (レス) id: 0a738029e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん。 | 作成日時:2022年11月5日 18時