早く帰ってきて ページ10
マンションに着く直前、春千夜の電話が鳴った。
駐車場に入ったところでスマホの画面を見た瞬間、
思いっきり顔を顰めた様子を見て、
仕事の電話だな、と察する。
春 「何だ。
……は？ちょっと待て。
A、先に部屋に入ってろ。暗証番号は覚えてるな？」
『うん、覚えてる。』
春千夜はそう言って私にカードキーを渡してきた。
春 「万が一誰か来ても、絶対に開けるなよ。」
『出掛けるの？』
春 「なるべくは出掛けねぇ。
状況次第だ。
とにかくいい子で待っとけ。間違っても帰るんじゃねぇぞ。」
『大丈夫なら、早く来てね？』
春 「あぁ。」
車から降りて部屋へ向かう。
荷物は後で春千夜が持って来てくれるとのこと。
車が見えなくなる前にチラッと振り返ると、
春千夜は少し離れていても分かるほど、
あの綺麗な顔を怒りで歪ませながら電話していた。
早く、来てくれるといいな……。
私はそう思いながら、とぼとぼと部屋に向かうしかなかった。
預かったカードキーでエントランスを抜け、
暗証番号も正しく入れることができ、無事に部屋に入る。
アイツがいない部屋に入るのはこれで2回目だ。
本当にすっかり変わってしまって、まだ違和感は拭えないけど、
くすぐったいような気分。
特に、私とご飯を食べる為に買ったという
ダイニングテーブルセットを見ると、胸が弾んだ。
とりあえず冷凍庫からビーフシチューの鍋を取り出し、
春千夜がいつ帰って来てもいいように解凍を始める。
チーズケーキの箱は本当になくて、
そのまま冷凍庫にポツンと入れられていた。
苦笑いでお皿にのせて、冷蔵庫へ。
ビーフシチューが解凍し切る前に……、
ご飯が炊ける前に……、
22時を過ぎる前に……、
日付を跨ぐ前に……、
何度もその頃には帰って来てくれるかなと、
思い直しながら、
ソファではなく、ダイニングテーブルの椅子に座って待っていた。
けれど、そんな願いも虚しく、
0時を過ぎても春千夜が帰ることはなく、
連絡も、��遅くなる��の一言が4時間前にきたっきり。
完全に何かのトラブルだ。
私からの連絡はきっと邪魔になる。
電話を我慢して待っていたが、
いつの間にかテーブルに突っ伏して寝てしまった。
この時の私は、
平凡に生きてきたのだから当然ではあるが、
アイツの仕事を微塵も理解出来ていなかった。
そしてそれを思い知る出来事が、
この後待っているなんて、夢にも思わなかった。
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きりん(プロフ) - ちいさん» 作者もそう思いつつ、書いてます（ ; ; ） (2023年1月24日 6時) (
レス) @page49 id: 50a8b891d8 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 早く助けてあげて〜(>_<) (2023年1月24日 2時) (レス) @page48 id: dc2461d50b (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - 継澪♪_ほぼ無浮上_さん» 春千夜が彼氏だと、色々インパクト強すぎて、いない時、考えちゃうかなーと思い、あんな感じになりました（笑）可愛いって、言ってもらえて嬉しいです！！（ ; ; ） (2023年1月21日 21時) (レス) id: 50a8b891d8 (このIDを非表示/違反報告)
継澪♪_ほぼ無浮上_(プロフ) - ずっと春ちゃんのこと考えてる夢主ちゃん可愛い！早くあえるようになれー！ (2023年1月21日 18時) (レス) @page40 id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - ちいさん» そう言っていただけるなんて、本当に光栄です！！恋人編にはもう少しココくん出す予定なので、楽しみにしていて下さると嬉しいです(*ﾟ▽ﾟ*) (2023年1月18日 4時) (レス) id: ee22706dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん
| 作成日時：2023年1月13日 9時
