試着室でのお遊戯 ページ6
例によって恐ろしいスピードで連れて来られたのは、
お洒落なセレクトショップ。
へろへろになっている私を半ば抱えるように強引に中へ連れてきた男は、
店に入るなりすっ飛んで来たスタッフに、
コイツの服見に来た、とだけ伝え、
私をふっかふかのソファに座らせた。
ちなみに店は貸切状態。
ぐったりしている私に、にこにこしながら店員さんが
緑茶を持って来てくれた。
……あはは、優しさが目に沁みそう。
そして服を物色し始めた男は…、
春 「コレとコレ、それに、ソレ。
あとは、まぁ……、コレとアレだな。
オイ、A。試着して来い。」
『え、そんなに?
ファッションショーじゃないんだから。』
店 「お手伝い致します。」
あれ?優しいと思ったのに、
やっぱり店員さんはあほ千夜の味方で、
さっきと同じにこにこした顔で試着室に連行された。
ハンガーを取って服を渡され、観念して着せ替え人形を始める。
それを見て、あほ千夜は、
やっぱり俺はセンスがいい、とか何とか言ってた。
……本当に着てみるとどれもしっくりきて、何だか悔しい。
最後のトップスとスカートを脱いでいる時、
ふとタグが目について見てみると、驚愕の値段。
思わず悲鳴のような声を上げてしまった。
春 「どうした。
……お前、またそういうカマトトぶったの着けやがって。
まぁ、これはこれで…、」
試着室のカーテンが無遠慮に開けられ、
心配の色を滲ませた声色の春千夜と目が合う。
数秒固まっていると、
にやにやし出した男に、ハッとして服で前を隠した。
『……きゃー!ばか、早く出て!!』
あろうことか、春千夜は中に入って来て、
後ろ手で試着室のカーテンを閉めた。
春 「ほら、着替え手伝ってやるよ。」
『こっの、ど変態!いいから外で待ってなさい!!』
私はとりあえず下着姿が見られちゃうことよりも、
追い出すことを優先して、春千夜の身体を押した。
すると案外あっさり出て行ってくれそうで、
ホッとした時、耳元で囁かれる。
春 「バーカ、何想像してんだよ。
こんな所で何かするわけねぇだろ?
お前のイイ声、他の奴に聞かせてたまるかよ。」
『もー!!
早く出てって!!』
春 「くくっ、はいはい。」
そして急いで着替えて、試着室を出ると、
あの変態男は、別の物を見ていた。
………お願いだから、誰か冗談だと言ってほしい。
いや、もはや夢であってほしい。
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きりん(プロフ) - ちいさん» 作者もそう思いつつ、書いてます( ; ; ) (2023年1月24日 6時) (レス) @page49 id: 50a8b891d8 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 早く助けてあげて〜(>_<) (2023年1月24日 2時) (レス) @page48 id: dc2461d50b (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - 継澪♪_ほぼ無浮上_さん» 春千夜が彼氏だと、色々インパクト強すぎて、いない時、考えちゃうかなーと思い、あんな感じになりました(笑)可愛いって、言ってもらえて嬉しいです!!( ; ; ) (2023年1月21日 21時) (レス) id: 50a8b891d8 (このIDを非表示/違反報告)
継澪♪_ほぼ無浮上_(プロフ) - ずっと春ちゃんのこと考えてる夢主ちゃん可愛い!早くあえるようになれー! (2023年1月21日 18時) (レス) @page40 id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - ちいさん» そう言っていただけるなんて、本当に光栄です!!恋人編にはもう少しココくん出す予定なので、楽しみにしていて下さると嬉しいです(*゚▽゚*) (2023年1月18日 4時) (レス) id: ee22706dc1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりん | 作成日時:2023年1月13日 9時