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蘇り、重なる ページ43

目を覚ませば椅子に座らされており、
身体は拘束され、視界は遮られていた。
足裏の感触からすると、
おそらくコンクリートの部屋のようだ。少し肌寒い。





「お目覚めですか?」





私に声を掛けてきた男の声が、目の前から聞こえた。





『……ここは、どこですか。
何のために私を……、』





「声が震えていますよ。
いくらあの梵天のNo.2の女と言っても、
所詮は女ですし、
貴女は、ただの一般人ですもんね。」





『これ取って!
何なんですか?何が目的なんですか?』





「取らない方が幸せだと思いますけど。
ま、貴女がそう言うなら、そうしましょうか。」





男は私の目隠しを外した。
目の前には、やっぱりあの小柄な男。
そしてその奥には、いかにも柄の悪そうな男が3人、
ソファに腰掛けてこちらを見ていた。
身体を這うような視線は、吐き気がしそうだった。





そして辺りを見渡して、
思わず声にならない悲鳴をあげた。
私の左側、少し離れた所には、鎖に繋がれた女性が1人。
服はボロボロで、
辺りには血痕のようなものが飛び散っていた。
……彼女はピクリとも動かなかった。





「だから言ったでしょう。外さない方が幸せだと。
彼女は、梵天管理下の夜の店の女性でしょう。
私達の会社に無断で入り込もうとした、
行儀のワルイ子でしてね。」





『はぁっ……、はぁっ……。』





「お仕置きを、ね。
他にもお友達がいらっしゃったんですが、
生憎私達には、男性と遊ぶ趣味はないので、
早々にご退場願いました。」





もう、目の前の男の言葉なんて、
耳には入ってこなかった。
肌寒いくらいに感じていた部屋は、
真冬にでもなったかのように
一気に冷たく感じ、全身がガタガタと震え出す。





「聞いてます?
もう1人、上の者が来ないと始められないので、
ちょっとお待ち下さいね。」





よく見れば、
彼女の髪には、至る所に白い何かが。
それは、男のアレに違いなく、
微動だにしない女性に、数年前の自分が重なり、
恐怖心が数段跳ね上がった。





やだ。
こわい。
これ以上、見ず知らずの男に穢されたくない。
……春千夜、助けて……。





恐怖と絶望、焦燥が綯い交ぜになった私の表情を見て、
男達はゲラゲラ笑いながら、
あの梵天の三途の女だ、早くヤリてぇなぁ!!
よっぽどいいカラダしてんだろうよ!!
と、汚い大声を発していたが、
それすらも、トラウマを思い出す私の耳には届かなかった。

手掛かりは目の前に→←会いたい気持ちが思考を鈍らせる



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きりん(プロフ) - ちいさん» 作者もそう思いつつ、書いてます( ; ; ) (2023年1月24日 6時) (レス) @page49 id: 50a8b891d8 (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 早く助けてあげて〜(>_<) (2023年1月24日 2時) (レス) @page48 id: dc2461d50b (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - 継澪♪_ほぼ無浮上_さん» 春千夜が彼氏だと、色々インパクト強すぎて、いない時、考えちゃうかなーと思い、あんな感じになりました(笑)可愛いって、言ってもらえて嬉しいです!!( ; ; ) (2023年1月21日 21時) (レス) id: 50a8b891d8 (このIDを非表示/違反報告)
継澪♪_ほぼ無浮上_(プロフ) - ずっと春ちゃんのこと考えてる夢主ちゃん可愛い!早くあえるようになれー! (2023年1月21日 18時) (レス) @page40 id: 6f5f0e8f06 (このIDを非表示/違反報告)
きりん(プロフ) - ちいさん» そう言っていただけるなんて、本当に光栄です!!恋人編にはもう少しココくん出す予定なので、楽しみにしていて下さると嬉しいです(*゚▽゚*) (2023年1月18日 4時) (レス) id: ee22706dc1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きりん | 作成日時:2023年1月13日 9時

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