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(萩原side)


こないだの飲み会から松田が機嫌が悪い。

まあ、原因は紛れもなく俺なんだけどな。

色々喋りすぎちゃったし。


「陣平ちゃん許してよ〜」

「ったく、うるせぇな」


今日は松田と事件があったショッピングモールへやってきた。

事件っていっても、ストーカー被害にあっているアパレル業の女の子の護衛をしつつ犯人を捕まえるっていう。

まあ、俺と松田にかかりゃ秒で解決する問題で、あっさりと犯人を捕まえ幕を閉じた。

犯人を車に乗せ、俺たちも署に戻ろうとしたら見覚えのある横顔が俺たちを通り過ぎていった。


あの子、もしかして…


女の子の元へ走っていく俺に「お、おい!萩原!」と松田の声が聞こえた。

どうやら松田は気づいてないようだ。

ようやく追いついた女の子に声をかける。


「もしかして、Aちゃん?」

「えっ、萩原くん?!」

「久しぶり!奇遇だね、こんな所で会うなんて」

「うん。仕事中?」

「あ、うん…今ここでちょっとした事件があってさ」

「事件?!」

「あ、でも無事に解決したから安心して?」

「 そっか、良かった」

「おい、萩原!…あ、」

「陣平くん…」

「A…久しぶりだな…」

「そうだね…」



松田にクルッと後ろを向かされAちゃんち聞こえないくらいの声で聞かれる。


「萩原、何でここにAがいるんだよ?」

「偶然会ったんだよ。そんなことより折角会えたんだし、より戻すチャンスじゃん!」

「バカ言え。あいつとはもう終わってんだよ。それに、もう結婚くらいしてんだろ…」


先程Aちゃんの左手の薬指に指輪がないことを確認した。

もしかすると陣平ちゃん…ワンチャンあるんじゃね?


「そういや、Aちゃん1人で来たの?」

「ううん。あれ、どこ行ったんだろ…」


「お母さんっ!」とAちゃんの腰元に飛びついてきた少年。


「もしかして、この子…Aちゃんの子供?」

「うん。…隼人?自己紹介は?」

「………」

「ごめんね、この子人見知りなんだ」

「ねぇ、お母さん?おもちゃ屋さん行きたい」

「そうだね行こっか。じゃあ、ね」


行ってしまったAちゃんとその子供くん。


"また"が付かないってことは"また今度"がないってことだよな…

そんなの嫌だ!

松田の元カノ以前に俺だってAちゃんとは高校からの友達だ。

それにあの子供のことも気になるし…

心なしか松田に似てる気がするのは気のせいか…?



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作者名:y0shin0 | 作成日時:2021年6月8日 23時

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