10歴「飛び抜けて良いこの瞳」 ページ14
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“この瞳”は暗闇でもよく見える。
いや、暗闇の方が何十倍も視やすい。
視力も視野の広さも飛び抜けて良いこの瞳で、暗く長い路地の向こうに、
ハッキリと広い道に出る出口が在るのが見えた。
おそらく、私がさっきまでスキップをしていた市場にある店で、買い物でもしようとしていたのだろう。
私は熱がないことを確認すると、少女の額に当てていた手を引っ込めた。
「―――…っ… うっ…」
少女が呻き声をあげ、ゆっくりと虚ろに瞼を上げた。
私は直ぐに『天星の瞳(スタイアーシュ)』を元に戻した。
「!! ……大丈夫?気分が悪いの?
気持ち悪い…?」
私が静かに声をかけると、少女は私に視線を向けた。
「―――――…!! すみません!!!ごめんなさっ…!」
突然、少女は瞳を見開くと勢いよく身体(からだ)を起こそうとした…。
しかし、起こす途中でもう一度倒れそうになり、咄嗟にフィアラが身体(からだ)を支える。
「大丈夫?気分が悪いのでしょ?
無理してはダメよ……落ち着いて」
私は優しく声をかけた。
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作者名:自然竜&カノン♭ | 作成日時:2015年8月2日 20時