8歴「妄想再び」 ページ12
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フィアラがいなくなっているにも関わらず、ギーヴは『赤い糸で結ばれているから』などと言いながら、
又もや妄想に突入し、決めポーズをとりながらキラキラオーラを放っていた。
その上、口から出たのはフィアラがいないせいからなのか、もう偽名ではなくなっている。
「さあ、フィアラ殿を迎えに行こう。そうしよう。
ついでに〜探しながら夜を楽しむための宿も見つけよう。そうしよう。」
未だに夜を共に過ごす気満々でギーヴはフィアラの行方を探しに歩き出した。
*
ギーヴがフィアラがいないことに気づいたとき……。
フィアラは鼻唄を歌いながら街中をスキップしていた。
リズムをとりながら跳ねる度、彼女のマントが上下に波立てる。
「〜♪〜♪♪〜♪
あたしはー自由〜♪アイツとの〜♪時間は朽ち果てるーの〜♪
――――…?」
フィアラは途中から口を動かしながら歌詞を口ずさみ始めたが、
呑気に閉じていた瞼を開くと何かに気がついたようだ。
「! っ……」
彼女の目に映ったのは、
細く暗い路地に倒れた人影だった。
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作者名:自然竜&カノン♭ | 作成日時:2015年8月2日 20時