1歴「さすらいの二人」 ページ2
.
何も無い広野を行(ゆ)く影が二つ、天の光に照らされていた。
靡く風に、舞い踊る長い布が波立てる…。
「あたしは行かないってば!
あそこには行かないんだから…!」
「うじうじ言っても始まりませぬぞ。フィアラ殿」
マントを羽織り、フードを被った二人組が言い合いをしている。
「ギヴァ!あたしの承諾権を奪う権利はないでしょ!
それに!もし万一正体が知られれば連れ戻されるかもしれないんだからっ!
判ってる……!?」
「判っておりますともフィアラ殿。
いや、フィアラ姫。」
「その呼び方はヤメて!
あたしはもう自由の身なの…!自由を愛し、自由と権利のために生きてるんだからっ」
「ですからこうやって私と共に奏者として参られているのではありませぬか」
フードの中から見えるのは、妖艶な顔立ちをした男の、陽気に上がった口角と、そして碧瞳。
ギヴァと呼ばれたその男にフィアラ姫と呼ばれた者が、自身の腕を掴み引っ張っている男の指を外そうと、もがく。
フードの中には、少女と言って通じるような、女性の様で幼く、花の様に綺麗で繊細な顔立ちをしている娘の顔。
そして、娘の瞳は普通の者とは異なるものであった…。
.
40人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:自然竜&カノン♭ | 作成日時:2015年8月2日 20時