くるいづき

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翌日、寝不足で重たく感じる体を起こし学校へ向かう


…どんな顔して、満に会えばいいの


俯きながら通学路を歩く


「お前、なに暗い顔してんの」


聞き慣れた声と自転車のブレーキを掛ける音に顔を上げる


『あ…進か、おはよう』


「なんだよ、俺で悪いか」


『そうじゃないよ』


前髪はオールバック、気崩された制服に不機嫌そうな


顔でサドルに跨る姿はまさにヤンキー


せっかく顔が整っているのに、勿体ない


そこがまたいいと絶賛するひとも一部いるが





「乗ってくか？」


『いいの？じゃあ荷物お願いします』


「お前なぁ…人の親切を」


『はいはい、ありがとう』


そのまま進と言い合いをしている間に学校につき


何事もなかったかのようにお互いの席に着く





昼放課になり自販機へ向かうと進が飲み物を選んでいるのが見えた


『進も買いに来たんだ』


「おー、てかなんで2本買うんだよ」


『これは友達の分、頼まれたの』


「へえ、てっきり2本一気飲みするのかと思ったわ」


そんなわけないでしょ、と眉をしかめて睨みつける


「怒るなよ、悪かったって」


出てきた飲み物を取り立ち去ろうとする





「なあ、A」


自販機にもたれかかりぎこちない様子の進


『なに？』


「…お前、満のことどう思う」


持っていた飲み物を落としかける


『…なに、急にそんなこと』


「答えろ、好きなのか」


『…分からない』


想いを伝えられた昨日の今日で、混乱してるのに


「…じゃあ、俺を選べよ」


まただ、心臓がどくんと強く鳴り始める


「お前のこと、ずっと好きだった」


はじめて見せる目つきに顔を逸らし、口を噤む


はあ…とため息をつく進に頭をぽんぽん と撫でられる


「今度、答え聞かせて」


耳元でそれだけ囁くと進は行ってしまった


力が抜けてその場に座り込む


…進も、私のことが好き。





その日はひとりで帰って、ベッドに顔を埋め考え続けた


満と進 どちらも私にとって大切な友達でどちらかなんて…


けどふたりの真剣な想いを弄ぶようなことはしたくない


覚悟を決めて彼に通話を掛ける


3コールしたあと、携帯からもしもしと呼ぶ声


『…告白の返事、しようと思って』


呼吸を整え、震える声を落ち着かせる


ふたりに想いを告げられやっと気づくなんて


どうしてこんなにずっと居たのに気づけなかったのかな、ごめんね


『私も、ずっと好きだった』





＿しゅくふくを ／神崎 満 皆川 進

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