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汽車の去る音が汽笛と共に耳に残る。名残惜しさを感じながらもそれらを背後に受けながら駅前に出ると私は大きく息を吸った。

いつでも駅前には人が多い。沢山いる。それに加えて今日は休日の夕刻なのだから更に多く、だからか様々な音がする。交通音、人々の会話する声。しかし、少しばかり細い路地に入った瞬間音薄らぐ。

こちらの路地から向かうほうが近道なのだ。それにあまり大通りに出ていくのは気が向かない。きっと人でごった返して前に進めないからだ。

予想通り、路地は人がまばらだった。


ここら辺の路地は商店が軒を連ねている。食品から日用品、居酒屋までなんでもこいなので中々に便利だ。横目に見た飲み屋の前では酔っ払いがたむろしていた。


いくらか道を進むと、ふと前に人影が現れた。
その人影は立ち止まり左右を見回すと急に私の方を見たかと思えばその瞬間にすごい勢いでこっちに向かってくる。


軽く恐怖で思わず身構えるけれど、それは全くの杞憂だった。


「…………あんた宇髄?」

「A!!!!!!丁度良い所に!!!!助けろ!!!!!」

「いや質問に答えてよ」

その人影はなんと宇髄だった。
宇髄は隊服ではなく着流しを着ておりいつもの風変わりな化粧もしておらず、髪の毛も結っておらず、一瞬誰かわからなかった。だっていつもと全く雰囲気違うから。

「今日は非番?」

「おう。」

見りゃわかるだろーが、こんな格好してんだからよ、と宇髄は着物の端をつまみながら言う。私がそりゃそうか、と納得した後、宇髄は馬鹿でかい声で本題を告げた。

「そうだよ!!!!雑談してる暇じゃねぇんだわ!!!!!」

「落ち着いて話せ。何があったわけ」

「今さ、伊黒と煉獄と不死川と俺で飲んでたんだけどよ」

「うん」

「……………………ちょーっとばかり飲みすぎてさ」

「……うん」

「俺以外全員潰れた」

「は?」

沈黙が落ちる。いやまて。何を言い出すのだ、この男は。俺以外全員潰れた、だと……?あの三人は人並みに酒強いはずなんだけど。どれだけ酒飲ませたら潰れるんだ。何が「ちょーっと」だちょーっとだったら潰れやしねぇんだよ。てゆうかあの三人が潰れる量の酒を飲んで平然としていられる宇髄が一番怖い。

「んで私に運んでくれって言いたいのか」

「その通り!!!」

「…………チッ」

じとりと睨みながら思わず舌打ちが出る。それを了承と受け取ったのか宇髄は一旦安心した様に笑い、そして店まで歩き始めた。

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神風 - 暇神さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて、とても嬉しいです。 (2020年3月14日 15時) (レス) id: bc2bf01d90 (このIDを非表示/違反報告)
神風 - 猫田尋さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!体調は万全です! (2020年3月14日 15時) (レス) id: bc2bf01d90 (このIDを非表示/違反報告)
暇神 - 続編おめです!!設定など細かく出来ていて、とても面白かったです!次の更新楽しみにしています! (2020年3月13日 14時) (レス) id: 431fb3f7fc (このIDを非表示/違反報告)
猫田尋 - 続編おめでとーございます!更新頑張ってください!神風さんは体の調子大丈夫ですか?無理せず自分のペースで更新していただけたら幸いです! (2020年3月13日 13時) (レス) id: 0dcbb5e6a0 (このIDを非表示/違反報告)
神風 - ココロさん» ありがとうございます!頑張ります!ココロさんも体調に気をつけてくださいね! (2020年3月12日 22時) (レス) id: bc2bf01d90 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:神風 | 作成日時:2020年3月12日 14時

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