Dr.じゃんぷ×Pt.じゃんぷ そのに。

Dr. Kota × Pt. Kei * ページ4

side:Kei


『はいっ、じゃあ10分休憩して次サビから最後までねー。』


目の前の振付師がそう言うと、各々水分補給をしたり談笑しながらストレッチをしたり…


ガヤガヤと騒がしくなるレッスン室の中で一人、朝から治まらない倦怠感と頭痛に耐えていた。


正直かなり辛い。…けど、誰かに頼る気にもなれなくて。


割と1人で過ごす事も多いからか誰にも気付かれないのを良いことに、少し離れたところで腰を下ろした。


宏太「あ、ねぇ伊野尾さぁ、」


慧「…うん？」


水の入ったペットボトルを片手にぼーっとしていると、いつの間にか薮が隣に立っていて。


宏太「あの知念のパートから山田のパートに移る所、あそこ振りちょっと遅れ気味だったから気を付けてね。」


…何となく自分でも思い当たる部分だ。少し速いステップだから余計にくらくらして遅れてたんだな。


慧「あー…うん、ごめん気を付ける。」


宏太「…もしかして今日調子悪い？」


慧「えっ…いや、別に。強いて言うなら寝不足かな笑」


咄嗟にそんな事を言ったけど、完全に気を抜いていたから図星を突かれてびっくりした。


宏太「…あんま無理すんなよ。」


納得はしていなそうだったけど、そう言い残して山田と振りの確認をしに行った。


…これが知念や大ちゃんなんかだったら、多分無理やりにでも止めるんだろうけど。


信頼というか長年の付き合いというか…俺の限界を知っているからだろう、今すぐレッスンを止めるようには言わなかった。


あと1時間か…。なんとかいけるかな。


…そう思ってたんだけどね。

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