♯35 料理 ページ35
Aside
『えっと……こうですか?』
フライ返し片手に尋ねる。
莉犬「えー、うん!ちょっと焦げてるけど流れ的にはそんな感じかな。」
莉犬さんは険しい顔をした後、笑顔で答えた。
鈍いと言われる私でもさすがに察した。
あまり良くないという意味だろう。
まあ、目の前にある黒焦げで歪な形のパンケーキを見たら誰でも分かる。
やっぱり向いてないのかな……。
分かりきっていたとはいえ実際にやってみると少しへこむ。
そんな私の様子に気づいたのか莉犬さんは私の後ろにまわって手を支えてくれた。
莉犬「いい?こうやって……ひっくり返す。」
莉犬さんが耳元で教えてくれた。
いつも聞く可愛い声のはずなのに少しドキッとしてしまった。
そして手も少し震えていた。
どうしたんだろう。
私は緊張している理由が自分でもよくわからなかった。
莉犬「ほら、上手。あれ……?顔真っ赤だけど……あ、ごめん。」
莉犬さんは慌てた様子で握っていた私の手を離した。
『いや……別に嫌だったわけじゃありません……っ。』
私は少し下を向いて莉犬さんの手を握った。
不快な気持ちにさせてしまったかもしれないから。
『教えてくれてありがとうございます!また教えてください。』
私は笑顔でお願いした。
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作者名:。。。くるみ。。。 | 作成日時:2021年6月21日 17時