エピローグ ページ37
.
『あ、』
もう何回目か分からない
小さな悲鳴を上げる彼女。
「…ねぇ、Aってさ」
『言わないで。』
「線香花火下手だよね」
どうしても思っていたことを言いたくて。
彼女の要求を無視して声に出す。
『言わないでって言ったのに』
少し膨れながら
新しい花火に火をつける彼女。
.
久々に海沿いをデートした帰り道
懐かしい公園を見つけた。
足を踏み入れれば面白いことに
全部、蘇ってきた。
今隣にいる彼女を見つけた場所。
この懐かしさを無下にしたくなくて
コンビニで線香花火を買った。
『今回調子いいかも』
慎重になりすぎて
綺麗さを楽しむとは程遠い遊び方になっているけど。
「あんま近づきすぎんなよ」
前髪に火が付きそうで
ハラハラする。
夢中になるとまるで童心なんだから。
.
『あ、ちっちゃくなった』
なぜか小声で報告してくる彼女。
そんな、初めて見るみたいな目。
楽しくて仕方ないという目。
すごく、デジャヴだ。
あぁそっか。
俺はまた、今日もなんだ。
.
『ね、愁、
最後まで、』
無邪気な顔でこっちを向いたAに
唇を重ねる。
当然、線香花火への配慮なんてしていない。
せっかく最後まで消えずに
生き残りそうだったのに。
きっと今の衝撃で火の玉は落ちただろう。
.
でも、許してほしい。
あのころと変わらず
楽しそうに花火をする姿に
俺は今日も、前と同じように見惚れて
唯一あの夜と違うのは
もう、見惚れたという事実に
正直になっていいということ。
線香花火は何本だって、また付き合うから。
今はこの幸せを存分に享受させて。
.
「好きだよ、A。」
唇を離して目を合わせれば
自然と出てくる言葉。
『私も好き』
最初はきょとんとしていた彼女も、
俺に髪を撫でられれば
すぐに蕩けたように微笑む。
何度だって、見惚れるに決まってる。
あぁ、今日も俺の彼女は
とても、綺麗だ。
fin.
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kaho(プロフ) - ナマケモノさん» 一気読みだなんて…！！とてつもなく嬉しいです、( *´ｰ`* )分かります、私も声出しながら書いてます(変態) 素敵なコメントをありがとうございました(*´ `*)ﾉ (2021年7月7日 13時) (
レス) id: cde1bfd013 (このIDを非表示/違反報告)
ナマケモノ(プロフ) - 少しずつ作品を一気読みさせてもらってます。最高すぎやしませんか？キュンが体内に収まりきらず変な声を出してしまうんですが……ありがとうございます！！！ちょうど求めていたストーリーで幸せな気分になれました。応援してます！ (2021年7月7日 9時) (レス) id: 519c5db7d2 (このIDを非表示/違反報告)
kaho(プロフ) - 透花@我々だファンさん» お気に召していただけて、とても嬉しいです。最後まで読んでくださってありがとうございました(*´∪`) (2021年5月17日 20時) (レス) id: cde1bfd013 (このIDを非表示/違反報告)
透花@我々だファン(プロフ) - めっちゃ好みのオリジナル作品です…！完結おめでとう御座います！ (2021年5月17日 16時) (レス) id: 5166517003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kaho | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/novel/kAhO5/
作成日時：2021年4月18日 2時
