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道の端に逸れて、少し立ち止まり
甘いシロップがかかった氷を食べる。
さすが夏。
溶けるのは恐ろしく早くて
『ジュースみたい』
あっという間に液体になった。
「ほんとだ、
もう食べれないね」
空腹も、のどの渇きも
満たされてしまうのが怖い。
一緒にいる意味が
徐々になくなっていくのが怖い。
ジュースになりかけているそれを
必死になって食べる彼女を見る。
あんなに普段余裕を見せる癖に
たまに、童心に帰るようなところが
なんとも、ずるい。
俺の目を捉えて、離さない。
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「げ、」
その彼女の先の、奥の方に見えた4人組。
めちゃくちゃ見慣れてるメンツ。
俺があまりにも嫌な顔をしていたからか、
俺の視線の先を追う彼女。
『…風見くんの部活の人』
「そー、3年」
結構目立つ4人組だから
多学年にも有名で。
彼女も認識しているようだった。
「ちなみに、超陽キャね」
今の一言で
俺の表情が曇った理由を
察したらしい。
彼女は面白そうに
『風見くん、
陽キャに絡まれやすいもんね』
と笑った。
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別に女の子と一緒にいることを
見られたくないというわけではないし
先輩たちが嫌いという話でもない。
だけどもしも見られたら
明日からの部活中
死ぬほど揶揄われる確証はあった。
どうか、こっちに来ませんように。
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なんて思えば思うほど
その願いとは逆の運命になるように
世界はできてるのかもしれない。
段々と姿が鮮明になってくることから
進行方向がこっちなのは見て取れた。
あーこれは
そろそろ移動だな。
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見つかりたくないという
少しの焦りを抱えながら
本当に可笑しい話なんだけど、
なんてラッキーなんだ
と、
心臓が一段と速度を上げた。
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kaho(プロフ) - ナマケモノさん» 一気読みだなんて…!!とてつもなく嬉しいです、( *´ー`* )分かります、私も声出しながら書いてます(変態) 素敵なコメントをありがとうございました(*´ `*)ノ (2021年7月7日 13時) (レス) id: cde1bfd013 (このIDを非表示/違反報告)
ナマケモノ(プロフ) - 少しずつ作品を一気読みさせてもらってます。最高すぎやしませんか?キュンが体内に収まりきらず変な声を出してしまうんですが……ありがとうございます!!!ちょうど求めていたストーリーで幸せな気分になれました。応援してます! (2021年7月7日 9時) (レス) id: 519c5db7d2 (このIDを非表示/違反報告)
kaho(プロフ) - 透花@我々だファンさん» お気に召していただけて、とても嬉しいです。最後まで読んでくださってありがとうございました(*´∪`) (2021年5月17日 20時) (レス) id: cde1bfd013 (このIDを非表示/違反報告)
透花@我々だファン(プロフ) - めっちゃ好みのオリジナル作品です…!完結おめでとう御座います! (2021年5月17日 16時) (レス) id: 5166517003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kaho | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/kAhO5/
作成日時:2021年4月18日 2時