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『お待たせ致しました、ミルクチョコになります』
チョコレート色の飲み物に1くち口につけたらもう既に泣きそうになった。
カタン、とカップを置いて深呼吸。
目｢……A、おれ、大晦日は実家に帰るから｣
｢え、田辺くんたちと一緒に越さないの？｣
目｢るーにもこの話そもそもしてないし、来年の年明けもAにあけましておめでとうを言う気はないよ｣
｢………え？｣
キョトン顔のAの頭には多分はてなだらけなんだろうな。
目｢俺の誕生日も、バレンタインも一緒に過ごさないし、………今日で会うの最後にしようかと思って｣
｢……気にしてるなら本当に私は大丈夫だよ？たつやくんにもお別れしてきたのこの前、だから｣
目｢もう、俺のために我慢しなくていいんだよ｣
泣きそうな顔で俺を見て、
……おれ、こんな顔しか見たことない。
目｢あの人といるときのAが1番可愛いの俺知ってるから。大丈夫なんかじゃないから俺の前では笑ってくれないんだよ｣
そんな顔みたくない、って両手でほっぺたを潰す。
目｢おれ、Aのこと好きになれて良かった。……そろそろ解放されたいんだよ、永遠の片想いからも｣
微笑んだ俺の顔、Aの目にはどう映ってるんだろ。
目｢俺から利用してって言っといて悪いと思ってる。でも、それでAがもっと悩んで苦しんで楽しそうにしてくれない方が俺……辛いから｣
ありがとう、そう言ってAの頭を撫でた。
目｢おれもAさんには深澤くんが必要だと思う｣
机の端に置いてあった伝票を手に取って
｢あ、｣
目｢いいじゃん最後くらい、カッコつけさせて下さいよ。Aさん｣
｢…ごめんね目黒くん……ありがとう…｣
本当に最後におでこにキスしてミルクチョコを飲み干した。
目｢俺のことは忘れてください｣
………くそ、ミルクチョコ美味しいな。
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作者名：たぁゆぅ
| 作成日時：2020年5月23日 15時
