寂しい ページ37
今日はこの番組出るねん！と逐一教えてくれる彼。情報解禁すればすぐにこの仕事はどうやったとか教えてくれる。
あ、今日堂本兄弟出るゆうてたっけ。舞台で東京に行ってから、ラインでやり取りしたりテレビ電話をしてくれていて。寂しくはない。
KinKi Kidsさんと共演している彼はやはり芸能人だなって再確認して。
いつか遠い存在になってしまうのだろうかと不安にもなる。
それほど、惚れてしまった。
♪〜♪
「あ、A？ごめん寝ちゃってて連絡、返せんくて」
全然いいのに、むしろ舞台で疲れてるはずやから休んでほしい。
『お疲れ様。ちゃんとお布団かけて寝てた？』
「んー！布団に潜り込んでた！」
なんで自慢げに言う彼が可愛い。さっきまで少し不安になっていた自分が情けない。
「なんか元気ない？」
『えっ？そう？』
「うん、あ、俺と会われへんから寂しいんかぁ」
そうかもしれへん。会うことが当たり前になっていたから。好きになればなるほど、彼が芸能人だということを目の当たりにして。慣れなきゃいけないのについていけない自分がいた。
「A？ほんまにどないしたん？」
『寂しいよ』
「...ほんまに？」
『あ！いや、その。お仕事！頑張ってな？』
やばいやばいやばい。こんなん言うたらあかん。たかが数週間。これからデビューしたら拠点だって東京になるし、会えないことが当たり前なのに。
「A？テレビの下の引き出しあけてみ？」
彼の言う通りに引き出しをあけると小さな袋と封筒が入っていた。
『何？これ』
開けてみ、という彼の言葉通りに開けると中にはネックレスと手紙が入っていた。
「付き合ってからちゃんとしたプレゼントあげてないなー思ったんと、俺の気持ち書いた」
『っ』
こみあげる涙と、そこに書かれた文字は私のことを好きだという気持ちがたくさん書かれていて。
変な絵もあったから少し笑えて。彼らしいなと思った。
「泣かんといてよ〜！サプライズしたかってん！」
『嬉しい。ありがと』
「俺やと思ってつけてな」
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作者名：環奈 | 作成日時：2022年12月6日 0時
