葛藤 ページ17
バイバイするのが嫌なんて、正直私もそうで。
『もう会わへんの？』
「会うに決まってるやん！！」
『ほな、次いつにする？』
ぱあっと明るくなる彼に思わず笑ってしまう。
「明日A休みやんな？俺明日雑誌の取材が終わったら空いてるんやけど、またお家きても良い？」
『うん。夕方からなら大丈夫やで』
断ることもできたはずやのに、やっぱり私は彼のことを好きになり始めていて。
会いたいって、思うようになっている。正直、帰って欲しくない...
「帰って欲しくなさそうな顔、してる」
『えっ？』
「...期待しちゃうねんけど」
『...帰って欲しくない、けど』
「けど？」
『明日会えるから、がんばる』
「ふは！笑 何を頑張るねん。笑 でも可愛いなぁ、ほんま。」
『期待、してもいいよ』
思わず出てしまった言葉にハッとして。彼を見れば真っ赤な顔で。私も顔が熱くなる。
「なぁ、ほんまに帰りたない」
『や、でも...』
「...Aの嫌がることは何もしやん。」
思わぬ展開で、でも私も帰って欲しくなくて
「ソファで寝るから、あかん？」
『私がソファで寝る！』
「ふふ。泊まるんはええんやな？笑」
あ、しまった。さすがに風邪を引かせたり、体に支障があったらあかんからと思って言ったもののお泊まりを許可したみたいになってしまって。
「俺が帰ったら寂しい？」
『...』
寂しいに決まってる。出会ったばっかりなのが邪魔をして素直にはなれない。
「...わかった。今日は帰る」
「でも明日は泊まる、ええ？」
顔を上げれば優しい顔をした晶哉がいて。私の気持ちを汲み取ってくれたのだとわかる。
「出会ったばっかり、やのに。急いでしまってごめん。でもほんまに好きすぎて、俺もわけわからんなってて。わがまま言うて困らせてごめんな？」
『や、ちがくて。...今日も初デートやのにお家誘って、、やばい人やって思われてないかなって急に思って』
「俺のこと考えてくれたんやってめちゃくちゃ嬉しかったで」
よし、明日楽しみにしてるから今日は帰るな、と言って準備する彼を見送る。
危ないから玄関までで良いと言う彼が両手を広げる。
「ん。いってらっしゃいのハグ」
ぽすっと埋れれば、満足そうな彼。
『いってらっしゃい』
「うわぁ。破壊力えぐぅ！！！」
そう言って彼はまた明日と言って帰って行った。
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作者名：環奈 | 作成日時：2022年12月6日 0時
