すれ違う ページ34
きっかけはほんまに些細なことやった。最近は忙しいせいか、誠也くんに余裕がないことに気づいていた。
気遣っていたつもりだった。
でも、違う世界に生きる人だから、理解してあげられることなんてなくて。不安だった。
たまたま彼のスマホが鳴って、目をやれば女の子の名前で。彼は私に遠慮したのか電話に出なかったから、なんかモヤッとして。
私だって余裕はない。綺麗な女優さんに勝てるわけがないのだから。
『なんで出やんの？』
「別に。今お前とおるんやし」
私に目をやることもなく、雑誌をめくる彼。
『...逆にそれいややわ』
「は？」
『仕事の電話ちゃうってことやんな』
いつもなら気にならないのに、妙に気になって。女の子からの電話。ただでさえ余裕がなくて誠也君に詰め寄った。
「何？疑ってんの？」
売り言葉に買い言葉。
信じてくれてないんやってちょっとムカついた。俺は俺で、Aのことが好きで一緒にいる時間を大事にしているのに。
『...やましいことなかったら出るやん。普通』
俺の気持ちはAには届いていなくて、悔しくて。いつも寂しい思いをさせているから、一緒におるときくらいは、って思ってた。
電話をかけてきた相手は、確かに俺のことを好いてくれているらしくて先輩から紹介されて断れなかった人で。
連絡なんて返してないし、電話なんて初めてかかってきたのに、このタイミングで。
こっちがゾッとするレベルやのに。
「...俺のこと信用してへんのな」
思わず出た言葉だった。Aを責めるつもりはなかった。
『なんなん？その言い方。...久々に会えたのに、誠也くん疲れてるからゆっくりしたいやろなって思って私やって気ぃ遣ってたのに！』
「別に疲れてへん。そんな怒ることなん？」
『...女の子と連絡取るなとか思ってない。でも、2人でいる時にこんなん見てしまったら、気ぃ悪い』
「わかった。連絡先消す。着拒するわ。」
『そんなん言うてへんやん』
「気ぃ悪いんやろ？こんな事で喧嘩したない」
『バカにしてるん？誠也くんにとったらこんな事かもしれんけど、私は...っ。』
不安。その一言は言いたくなかった。感情的になりたくないのに。今私は何を言おうとした？
『...ごめん。今日は帰る』
「えっ？！」
『ごめん。無理や。』
もう泣いてしまいそうで。言いたくないことまで言いそうで。彼に嫌われたくないから。荷物を手にして玄関へと向かう。
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環奈(プロフ) - いとしなもんさん» ありがとうございます！お話リクエスト等あれば更新しますのでぜひ🫶🏻🫶🏻 (5月2日 19時) (
レス) @page27 id: 8e95a54030 (このIDを非表示/違反報告)
いとしなもん(プロフ) - コメント失礼致します。甘々な末澤くんにキュンとして一気に読んでしまいました💕一ヶ月更新されていないようなのでもしお時間等ありましたら今後の展開期待しています🥺佐野くんの方も見させて頂きましたがどちらも大好きな作品なので応援しています💐 (2023年4月16日 17時) (レス) @page42 id: a0d3106a6a (このIDを非表示/違反報告)
環奈(プロフ) - 花蓮さん» ありがとうございます！私も狂犬好きです。笑 キュンキュンさせられるように頑張りますね！ (2022年11月7日 22時) (レス) @page28 id: 2d58c01b81 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - 狂犬な誠也くん好きなので、この話読んでてとても楽しいです！ (2022年11月7日 6時) (レス) @page28 id: 2b3eb47189 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - あ (2022年11月7日 6時) (レス) @page28 id: 2b3eb47189 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：環奈 | 作成日時：2022年10月29日 22時
