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成亮Side
やっぱり、Aの体は全体的に硬くなっていた。
足首の関節は硬直しかけている。
Aはだいぶ前に風呂に行ったけど、中々出てこない。
「出てこないな。」
夕飯を作りながら、パソコンで仕事の続きをしている貴にぃと話す。
「出てきたら、兄ちゃん帰ってきてるかもって思ってるんじゃない？」
長風呂って体力奪われるからそろそろ声を掛けるか。
エプロンでサッと手を拭き風呂場に向かい、ドア越しに声を掛けた。
「A、そろそろ出な。
慶にぃ、まだ帰ってきてないから。」
「ほんと？」
そんなに慶にぃ帰ってくるのが怖いのかよ。
だったら、無理せずに言うこと聞いたらいいのに。
というのは、Aには通用しないのだろう。
あと、うちじゃ祐もそのタイプだ。
「ほんとだから、上がっといで。」
夕飯作りに戻り少ししたところで、温まり過ぎたんじゃないかというくらい温まったAがリビングに戻ってきた。
その歩き方から、体の硬直に加え長風呂をして怠くなっちゃったんだろうなと思う。
「水分とって、早く髪乾かせよ。風邪引くぞ。」
床にペタリと座ったAのもとに、麦茶を持って行く。
「ありがと。疲れたから後で髪乾かすー。」
いや、疲れるまで入るなよ。
「もう…乾かしてやるから、そこ座って。」
そしてやっぱり、貴にぃは激甘かよ。
ソファの前にAを座らせ、自分はドライヤーを持ってきてソファに座り、髪を乾かしてあげてる。
Aが気持ち良さそうに髪を乾かしてもらっている時、玄関のドアが開いた。
その音を聞いたAは、傍からみてもすぐに分かるように肩をビクッとさせる。
「ただいまー。」
しかし、玄関から聞こえてきた祐の声にすぐに緊張を緩めた。
「おかえり。早かったね。」
貴にぃが一旦ドライヤーを止める。
「そりゃ、俺だってAのこと心配だし。」
俺から見たらチャランポランの祐でも、ちゃんとAの兄だ。
「A、祐に言うことあるでしょ？」
貴にぃに、後ろからポンと両肩を叩かれたAは、下を向きながらだけど「ごめんなさい」と謝った。
Aにとって祐は、親代わりというよりも遊び相手だから、こうして謝るのは恥ずかしいところがあるのかもしれない。
「ん。」
ほら、こっちも謝られ慣れてないから照れてる。
「慶にぃは？」
そして、祐照れ隠しに強引に話を変えてきた。
「珍しく残業みたい。Aが念送ってんじゃない？」
笑いながら言う貴にぃに、案外あるかもなと思った。
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作者名：かもみーる | 作成日時：2020年1月24日 21時
