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貴久Side
シゲは忙しくて、中々みんなとご飯を食べれることもないからと、今日はシゲが帰るまで朝ご飯を食べずにいた。
腹はかなり減ったけど、嬉しそうに俺に話しかけながら食べているシゲを見ていると、そんなことなんてどうでもよくなってくる。
というか、早くシゲを休ませるためにAのところに行かせなかったんだけど。
朝飯を食べながらずっと話してて全然箸が進まないなら、同じじゃん。
まったく、大人になっても弟は可愛いものだ。
「それでさ、…ん?いま上で物音しなかった?」
シゲが何か口に出しかけたとき、2階からドンッという音がした。
「俺、見てくるわ。」
いやいや、結局Aにも会いに行くのかよ。
しかも、嬉しそうなのが隠せてない。
成亮くん、家に帰ってきてからもうすぐ1時間経つんですけど?
兄ちゃん、早く休んで欲しいんですけど?
いっそ、ベッドで絵本でも読んでやろうかと思いながら、シゲに続いてAの部屋に向かった。
「入るぞー。」
シゲがドアをノックする。
Aが中学生くらいの頃、祐がノックをせずにAの部屋に入り大喧嘩をしてから、みんな必ずノックをするようになった。
返事を聞きドアを開ければ、ベッドのそばにAがペタリと座り込んでいる。
「目眩で起きれなかった?」
シゲが聞くと、Aはコクリとうなずいた。
ここはプロであるシゲに任せよう。
「トイレに行こうとしたの?」
「なんでそう言う聞き方するかなー?デリカシーないとか言われない?」
「俺の患者さんはそんなこと言いませんー。」
「みんな我慢強いんだね。」
「我慢強いんじゃなくて、素直なだけ。Aと違って。」
ダメだ、プロである前にAの兄だった。
俺が代わろう。
「で、Aはなんで起き上がろうとしたの?」
「下、なんか楽しそうだったから…」
なるほど、寂しかったのか。
言ってから恥ずかしくなったのか、Aは顔を逸している。
「寂しがり屋かよ。」
シゲが、デリカシーがないと言われた仕返しをするかのように笑い、Aが拗ねたように頬を膨らませている。
可哀想だから、助太刀してやるか。
「シゲと似てるね。
シゲも、久しぶりに家で俺と朝飯食べたから、話してばかりで全然箸が進まないし。
止めてるのにAのところに行こうとするし。」
「ちょっと!何言ってんの?!」
シゲが顔を真っ赤にして慌てているから可愛い。
今日は特別だ。
寂しがり屋2人を、リビングで一緒に休ませてあげよう。
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作者名:かもみーる | 作成日時:2020年1月24日 21時