第80話 世界は何か変わったか ページ34
．
今日の天気は清々しい晴れであった。朝の空気はパリッとしていて、深呼吸するだけで体の隅から隅までも新しくなった気がした。
朝特有の低い気温に体を晒せば、昨日よりもっといい日になるのかもしれないという不確かな予感すら湧いてくる、そんな朝だった。
もっとも私はそんなわくわく感を感じることもなく、うんざりする倦怠感の中で起床することが常である。
朝を苦手とする事にかけては私こそ第一人者だと、情けなくて堂々とは言えないけれど自称できる。それくらい朝が苦手だ。特にまだまだ寒さが襲い来る二月半ばを迎えた今は尚更である。
寒いか暑いかで言えば寒い方がまだマシだと思うが、だからって寒い方が好きだとは思えない。
今日も今日とて重い目蓋をこじ開けてのそのそと廊下を歩く。それでも朝食に間に合うように着替えを済ませることができた私を誉めちぎりたいものだ。
窓からは木漏れ日がチラチラと射していた。日光を浴びて葉に透明感が出る様はとても綺麗だ。こんな風景があるから冬を完全に嫌いと言えないのだ。
やはり自然は何があっても憎めないものである。
大広間のスリザリンテーブルへと向かえば、すでにセブルス君がそこに居た。彼の隣の席が空いていたので遠慮なく座る。
「セブルス君、おはよ…」
「おはようA、相変わらずの朝の弱さだな」
「…セブルス君だって弱いじゃない」
「でもAほどじゃない」
なんとも緩い会話をしながら、器にオートミールを入れてミルクを注ぐ。
「セブルス君、少なすぎるよ。もっと食べれるでしょ」
セブルス君の皿を指差してあまりの量の少なさを指摘する。私の目をかいくぐれると思ったら大間違いだぞ。
セブルス君は、起きてすぐに食べ物を受け付けないといったそれではなく、単に面倒臭がりなのだ。最初の量でも充分なエネルギーはギリギリ摂れているのかもしれないが、その量はあまりにも少ない。それでも成長期の男子か。
そんなセブルス君は、私の指摘に嫌そうな顔を隠しもせず、しかし無言で手近にあったバケットをひっ掴んで皿に乗せた。
「それでよし」
「……」
「はっはっは、なんでも入れなさい」
小さな抵抗として私の皿にもあれやこれやと入れてくるが、これを見越して私は器にオートミールしかよそっていなかったため痛くも痒くもない。
−−−−
と、ここまでが普段の日常だが、この狭い私の世界に、強引に侵入し、またそれを成功させた人物がいる。
第81話 後日、世界は微小に拡大した→←第79話 惑う棘に躊躇なく触れる
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 484人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜京目(プロフ) - 有難うございます！ストレートな褒め言葉に顔のニヤケが収まりません…これからもよろしくお願いします。 (2018年12月4日 20時) (
レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - こんにちは、初コメ失礼致します。物語の設定とか描写の仕方がドストライク過ぎてとても好きです(^^) これからも更新楽しみにしてます。体調など崩されぬようご自愛くださいませ。 (2018年12月2日 14時) (レス) id: 1a92e170c3 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 雨さん» コメント有難うございます。最近の話の流れが難しく、四苦八苦しながら更新している状態です。ですが必ずまとめてみせます。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2018年9月22日 16時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - 頑張ってください！更新楽しみにしてます！ (2018年9月17日 21時) (レス) id: cd068f5c5f (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - fairy taleさん» 暖かいお言葉をありがとうございます。自分の好きなように書いている物を読んで頂いていること、誠に感謝しております。これからもどうぞご愛読の方よろしくお願い致します。 (2018年8月29日 20時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：亜京目 | 作成日時：2018年8月17日 22時
