第44話 無関心は愛と対 ページ45
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「あのさ、休みの間に手紙を出してもいい？」
「勿論オーケーよ！じゃあねA、また休暇明けに会いましょう！」
「うん。リリーも、風邪をひかないようにね」
「Aったら、お母さんみたいなこと言うのね。貴女こそずっと部屋に引きこもってるだけじゃ体に悪いわ。たまにでいいから運動もするのよ！」
「うーん、まあたまになら…」
駅でリリーと別れ、迎えが来るのをその場で待つ。休暇には、あらかじめ家からクリスマスの予定が文中に交えられた手紙が届けられたので、乗り気ではないものの、実家に帰省することにした。
…セブルス君は学校に残るらしい。
暇つぶしにノクトの羽を籠の隙間から弄っていると、数分もしないうちに後ろから重圧的な声で名前を呼ばれた。
「やあ。待たせたな、A」
久しぶりに聞くその声に、緊張で強張った顔を深呼吸してなんとか戻し、最低限の笑みを浮かべて、顔を作る。
そしてようやく覚悟を決めて振り返る。
「…お久しぶりです、お父様。お迎えありがとうございま、」
「積もる話もあるが、このままでは寒いだろう。とにかくさっさと家へ向かおう」
「…そうですね」
厚手のコートを羽織り首元はマフラーでがっちり防御し、両の手をモコモコした手袋で覆うという完全防御にもかかわらず、まだ震えている寒がりな父親はまるで冬眠し損ねた熊のように見えた。
娘の礼儀に沿った挨拶を遮った挙げ句総スルーするところは相変わらずで、お前が言えって言ったんだろうが、と言いたいところをグッとこらえた。
しかもこれで挨拶をしなかったら咎めてくるという面倒臭い性格をしている。
礼儀を身につけていて損はないが、相手に返事を返されないのも癪である。
この人を相手にするのも慣れたけどね。
私の姿を無関心そうな目で一瞥すると、すぐに振り返って歩き出した。寒いから早く帰りたいとブツブツと宣った此奴の後ろを、三歩どころか五歩ほどの距離をあけて着いて行く。
理由は単純。隣を歩きたくないのだ。
彼の視界に入ろうものなら常に顔で淑やかに歩かねばならない。A家のAにならなければならない。
だから後ろをついて行くのだ。流石のこの人も後ろに目をつけるという芸当はできないらしいから、この人とどこかへ行く時は五歩後ろを歩くと決めている。
私が隣を歩きたいと思うのは彼等だけだ。
お前じゃない。
せめて屋敷に着くまでで良いから、Aになるまでの猶予が欲しい。
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第45話 息の詰まる夢ではないが→←第43話 カタログ捲れよ虚しさよ
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亜京目(プロフ) - キュウさん» いえいえ、お気になさらず。よかったらこちらの小説もどうですか(笑) (2019年5月3日 22時) (
レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
キュウ - すみません！！コメントする小説間違えてしまいました！！ (2019年5月3日 22時) (レス) id: b33addfcfc (このIDを非表示/違反報告)
キュウ - ちょくちょく夢主の名前と苗字？が反対になってますよ〜 (2019年5月3日 21時) (レス) id: b33addfcfc (このIDを非表示/違反報告)
青鯖(プロフ) - 亜京目さん» ようこそ文スト沼へ( ^ω^ ) (2018年10月24日 20時) (レス) id: c8be7af1d7 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 青鯖さん» 最近友人に漫画を借りて一から読みました。文ストは初心者です。まんまと沼にハマりました… (2018年10月24日 20時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：亜京目 | 作成日時：2018年6月18日 15時
