第43話 カタログ捲れよ虚しさよ ページ44
．
12月も半ばを過ぎて、あと数日もすればクリスマスがやってくる。つまり休暇を迎えるのだ。普段から閉鎖的なホグワーツは数少ないイベントに皆浮き足立っている。
先日に開催されたグリフィンドール対スリザリンのクィディッチでは、残念ながらスリザリンが負けてしまった為、我がスリザリンの談話室は数日間お通夜のような空気が流れていたが、やがてクリスマスの楽しい雰囲気でそれも緩和されていった。
私は特にクィディッチに興味はなかったので観戦は控えようかと思っていたが、観戦しない方が珍しいと聞いたのと、何よりセブルス君に誘われたのとで、私はクィディッチをその日初めて目にすることになったのだ。セブルス君も他の生徒と同様に、目の前で繰り広げられる空中戦に興奮していた様子だった。やはり彼も男の子だなあ、と私は一人微笑ましくなっていた。
後に試合の日は図書室に行くつもりだったとつい彼の前で零して、信じられないものを見るような目で見られてしまった。
最近セブルス君が私の前で感情を露骨に表してくれるようになって嬉しかったから気にしない気にしない。
「リリーにはバレッタでしょ。セブルス君も決まったし、マルフォイ先輩は……まあネクタイピンかリボンとかでいいよね……ほんと貴族面倒くさい…」
現在、私は数分前からベッドの上目の前のカタログと睨めっこをしている。
リリーとセブルス君へのプレゼントは随分前から決めていた。
リリーにはワインレッドのサテン地に白い花の装飾がついたバレッタを。セブルス君には家にある本のうち、彼が好きそうな本を何冊かと、それだけでは味気ないので黒くて暖かそうなマフラーを送るつもりである。
本はあらかじめ実家から送ってもらったもので、中古で申し訳ないがセブルス君が喜びそうな物をしっかりと考えた上で敢えて本を選んだ。…喜んでくれるだろうか。
問題は貴族の生徒たちへのプレゼントである。
あらかじめ知っている人やホグワーツで知り合った人など様々いる。正直名前を覚えているのはその中でも一握りだが、そこは貴族特有の付き合いというものがある。マルフォイ先輩は例外だが、その他大勢は上辺だけでも何か送っておかないと後で両親が煩い。
悩んだ末に全員が高級そうに見える菓子の詰め合わせに落ち着いたのは、私がこの事務的な作業に飽きたからというわけである。しかし申し訳ない気持ちがちっとも湧かないのは自身のことながら返って清々しいな…。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 425人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
亜京目(プロフ) - キュウさん» いえいえ、お気になさらず。よかったらこちらの小説もどうですか(笑) (2019年5月3日 22時) (
レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
キュウ - すみません！！コメントする小説間違えてしまいました！！ (2019年5月3日 22時) (レス) id: b33addfcfc (このIDを非表示/違反報告)
キュウ - ちょくちょく夢主の名前と苗字？が反対になってますよ〜 (2019年5月3日 21時) (レス) id: b33addfcfc (このIDを非表示/違反報告)
青鯖(プロフ) - 亜京目さん» ようこそ文スト沼へ( ^ω^ ) (2018年10月24日 20時) (レス) id: c8be7af1d7 (このIDを非表示/違反報告)
亜京目(プロフ) - 青鯖さん» 最近友人に漫画を借りて一から読みました。文ストは初心者です。まんまと沼にハマりました… (2018年10月24日 20時) (レス) id: 7f37cdc276 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：亜京目 | 作成日時：2018年6月18日 15時
