指先で触れる ページ25
＊
side Fukada
学校帰りにそのまま事務所まできた。
クリエ組の中で一番後輩の俺は他より努力しなきゃいけない事が沢山あるから、出来るだけ早く事務所に着くようにしてる。
いつもの休憩スペースに着くまでメンバーの誰にも会ってないから、多分今日は俺が一番乗りかな。
「･･･違ったわ」
ロッカーに荷物を預けて休憩スペースを出て行こうとした時に、奥のソファーで眠ってるAさんを見付けた。
こんな所で居眠りなんて珍しい。
と言うか、一人で居ること自体が珍しいのか。
いつも誰かしらがそばに居るから。
「･･････」
テーブルの上に置かれた腕に頭を乗せて、穏やかに呼吸で身体が上下する。
そんな体制で寝てたら身体固まっちゃいますよとか、ちょっと目の下に隈があるなとか、そんな事を考える。
近くに寄って行っても起きる気配がない。
「こんな所で寝てたら襲われちゃいますよ」
俺とかに。
なんて、そんな度胸ある訳ない。
でもこれくらいなら、許されるかな。
「いつかこの口で竜生って、呼んでくださいね」
そっとAさんの唇に触れる。
少しだけ、撫でるように。
ライバルの他の誰よりも付き合いが短くて、正直不利な状況だって自覚はある。
皆が当たり前に知ってる事も俺は知らないし。
逆に俺だけが知ってる事なんて無いだろうし。
「諦められたら、きっと楽なんでしょうけどね」
それでも、諦めるつもりなんてないけれど。
「じゃあ、俺先に行きますね」
寝てるんだから返事なんてない。
それでも、声を掛けたい。
夢の中で俺の声に反応してくれてるかも知れないし。
少しくらい期待したい。
Aさんの唇に触れた指で、カサつく自分の唇を撫でた。
＊
Twitterの１ツイート妄想から引っ張ってきて一話分に長くしてみました。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 404人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美紀 - 移行おめでとです最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年7月3日 13時) (
レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - ひよこさん» 変化していきますよね。相手のいい所を沢山見付けて、決めていけばいいと思います。感想もありがとうございます。甘酸っぱくなれるように頑張ります（笑） (2020年6月5日 17時) (レス) id: 3559332e32 (このIDを非表示/違反報告)
るい(プロフ) - ひよこさん» ひよこさん、コメントありがとうございます。覚えていますよ。まだ答えは出ないとの事ですが、相手の方が待って下さる方で良かったですね。状況がくノ一ちゃんと本当に似ていて、勝手にときめいてます(笑)意識してみると、相手の今まで見ていなかった面が見れて気持ちも (2020年6月5日 17時) (レス) id: 3559332e32 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - 思ってみたりしてます。作者さんのお話、今こういう状況だからなのか結構感情移入してみたりしてます笑これからも甘酸っぱいお話待ってますね (2020年6月4日 18時) (レス) id: fdb1fc9dc1 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこ(プロフ) - 言われました。焦って、空回りしてってのも嫌だったので少しほっとしました。告白されて、意識してこんなに素敵な人が私を好きだなんて言ってくれたんだと少し恥ずかしくなって。優しい目で見つめられて、また恥ずかしくなって。くノ一ちゃん一緒に頑張りましょ！なんて (2020年6月4日 18時) (レス) id: fdb1fc9dc1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るい | 作成日時：2020年5月23日 7時
