6話 ウラル来訪 ページ7
英雄さんからいろんな話を聞いて以降、ずっとソワソワしている。まぁ主に英雄さんから聞いた管理AI、ウラルのことなんだけどね。だってウラルの義体って男性の姿らしんだもん。ウラルが訪ねてきたときにびっくりさせないように、頑張って慣れようと試行錯誤してます。してはいるんだけど...正直不安しかない。
「まぁた眉間にしわよってるぞ？ウラルのことで悩んでるのか？」
『うん。いろいろ試してはいるんだけど、あんま効果なしって感じかな。ま、どうにかするよ。心配しないで。』
「...無理はするなよ。」
『分かってるよ。』
優しいなぁ英雄さんは。よし、もっといろいろ試してみよう。英雄さんに迷惑はかけたくないからね。
そんな会話をしていると、玄関のインターホンが鳴った。
「俺が出るよ。もし、男だったらお前ヤバいだろ？」
『うっっ...よろしくお願いします...』
「おう、じゃ出てくる。もし男だったら、適当に隠れとけ。」
そう言って英雄さんは玄関へ向かって行った。いつも、男の人だったら隠れている。だけどもし訪ねてきたのがウラルだったとしたら、隠れるわけには、逃げるわけにはいかない。玄関の方を覗いてみようかな。すると英雄さんの話している声が聞こえてきた。
「久しぶりだな、ウラル。やっぱり行く当てはなかったか。」
「ええ、そうですね。散々悩みましたよ。自分を殺そうとした人間の世話になるなど嫌ですから。ですが、他に行く当てもないですし、仕方なく来ました。」
「お前、相変わらずひねくれてるな。もう少し素直だと可愛いんだがなぁ？」
「余計なお世話です。」
英雄さんと話している声は、間違いなく男性の声だ。ウラルなのだろうか。声の主の姿をうかがう。
「おや、あなた、妹さんがいらしたんですか。あなたの兄の姿なんて想像もつきませんね。」
多分ウラルだと思われる男性は、こちらに気付きそう言った。いや、デカ。身長も英雄さんより高いし、体つきも大きい。これ、私大丈夫か？というか、私妹って思われてるんだけど。
「あ？あいつは妹じゃない。まぁ似たようなもんだがな。というかお前、そんなところにいて大丈夫なのか？」
大丈夫ではないけど、ここで逃げたらダメな気がする。
「妹さんでないという事は...まさか」
「おい、今失礼なこと考えただろ。こいつは昔、俺が拾ったんだ。お前とは居候仲間だな。」
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作者名：きなこもち | 作成日時：2023年12月31日 15時
