私は英雄の家に居候しています。 (ページ23)

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22話　才能（※既存の曲名を出しております。）ページ23

「ったく。余計なお世話だよ。ほら、配膳終わったぞ。」

『ふふ、ありがとう、二人共。じゃあ早速食べよっか？』

「そうだな。」

『うん。いただきます。』/「「いただきます」」

『ん！美味しい！』

「お口に合ったようで良かったです。」

「そういえば、曲は決まったのか？」

『ん？うん。一応ね。でも、候補がいくつか合って迷ってるんだよね。』

「ちなみに候補は何があるんだ？」

『えっとね…ピアノは「あの夏へ」、「人生のメリーゴーランド」、「神匿」で、歌は「身売り」、「愛の華」、「夜明けと蛍」かな。どれが聞きたいとかある？』

「うーん、じゃあ「人生のメリーゴーランド」がいいな。」

「では、私は「夜明けと蛍」が聞きたいです。」

『ふふ、分かった。』

そうして、夕食を食べ終えた。

『「「ごちそうさまでした。」」』

「俺らが片付けとくからAは準備してきていいぞ。」

『いいの？夕食作ってもらったのに、片付けまで任せるのは悪いよ。』

「気にしないでください。楽しみにしてますね？」

『ふふ、うん。楽しみにしててよ？』

そう言って、自室に戻って準備をする。ピアノの蓋を開けてセッティングする。弾く曲は「人生のメリーゴーランド」、歌う曲は「夜明けと蛍」だ。

『ふふ、二人共どんな顔するんだろう？』

私は英雄さんが家にいる時、ピアノは滅多に弾かない。歌は歌って聞かせたことすらない。ウラルは、もちろん知る由もない。少し緊張するけど、楽しみだなぁ。

準備を終えてそんなことを考えていると、コンコンと自室のドアがノックされる。

「A〜？準備終わったか？」

『うん。終わったよ。入ってどうぞ。』

「おう。」/「失礼します。」

「久しぶりに見たなぁ、そのピアノ。楽しみにしてるぞ？」

『ふふ、うん。楽しみにしてて。じゃあ、ピアノから弾こうかな。』

「お、分かった。」

『……』

集中をする。周りの音が止む。自分がどんな音を奏でたいのかをイメージする。

『…すぅっ、〜〜♩♫』

うん、いい感じ。鍵盤を押すたびに、私の描く景色が広がっていく。二人を私の描く景色に引き込むように音を奏でる。

弾き終わると二人は、呆然と私を見ていた。

「…すげぇ、すげぇなA！めちゃくちゃ上手いじゃないか！」

「…驚きました。まさかここまで腕が立つとは…。お見事です。あなたは本当に多才だ。」

二人が口々に褒めてくれる。…すごく嬉しい。