私は英雄の家に居候しています。 (ページ16)

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15話ページ16

私は、二人に見てもらうための準備として、部屋に大きなブルーシートを広げた。後は、いつものナイフを持ってっと。

「入るぞ。...何でブルーシートを...って、そのナイフはお前の手持ちか？」

『うん、手持ちの中では使うことが多いかな。』

「...あなた、そのナイフで何をするつもりですか。それにこのブルーシート.....まさか、」

『そのまさかだよ。よく見ててね。これで英雄さんの知りたいことがわかるからさ。』

「っっっおい、やめろ！！」
「っっ！やめてください！」

二人の叫びも気に留めず、私は握り慣れたナイフの刃を首に当てがって頸動脈を掻き切った。血飛沫が飛び、大量の血がブルーシートを赤く染めていく。私の足元には血溜まりが出来ていく。

二人の顔を見れば、とても真っ青で、パニックを起こしているようだった。あぁ、驚かせちゃったなぁ。でも、痛くないから大丈夫だよ。この痛みにも、もう慣れてるから。

二人は、私の方に駆け寄ってきた。英雄さんのこんな表情、初めて見たなぁ、なんて呑気なことを考える。

「っっ何してんだよ！早く血を止めねぇと...！」

「あなたは、何てことを！！このままでは、失血死してしまう...！」

すごい慌てようだなぁ。まさかウラルまでこんな表情するなんて。何か嬉しいなぁ。あぁ、この秘密を打ち明けたら二人はどんな表情をするのだろう。怖いなぁ。

『...二人とも、そんなに慌てなくて大丈夫だよ。』

「何が大丈夫なんだよ！お前頸動脈を掻き切ったんだぞ！」

『まぁ、確かに掻き切ったけど。じゃあ止血してるこの手、どけて。』

「はぁ！？さっきから何言ってんだよ！」

『はぁ、どけないなら無理矢理どけるから。』

「お、おい！」

英雄さんの止血してくれてる手をどけた。ほら、これが英雄さんの聞きたかったことだよ。私は傷の周りの血を拭った。

「...は？傷が治ってる....？」

「...説明してください、Aさん。この現象を。こんなこと...有り得ません。」

『そうだね、説明してあげる。と言っても見たまんまだけどね。私は後天的に、驚異的な治癒能力を手に入れた。ただ、それだけだよ。』

「お前、まさか...過去に受けた...」

『ご明察。この力は、過去に受けた実験での産物だよ。
と言ってもウラルは私の過去を知らないから、何のことかよくわからないよね。』

「...そうですね。出来ればあなたの過去のことも含め説明してほしいです。」

『わかった。』

そうして、私は過去について話し始めた。