13話 ページ14
「...あなたは、殺せるんですか。どんな思いで殺すんですか。あなた自身が壊れたりしないんですか。」
『...殺せるよ。実際何人も殺してきた。数えきれないほどね。精神的にくるときもあるけど、仕事中に手元が狂うことはない。どんな思いで殺すのか...は、来世は幸せでありますように。かな。』
「殺す対象の幸せを願いながら命を奪うことは、矛盾しています。...私にはあなたが、あなたの心が理解できません。」
『...そう。では、あなたはどんな思いで人間を殺していたの?何故苦しまないように殺していたの?』
「それはっっ!苦しまないように死にたいと頼まれたからで...!」
『あなたはその人の役に立ちたかったんでしょう?その人の願いだったから叶えてあげたのでしょう?それが、その人にとって救いになるならってね。違うかな?』
「...っ。ええ、そうですよ。生きるのが辛い、死ぬことで救われたい、楽になりたい、それが彼らの願いだった。私の力で叶えることが出来るなら、救えるのなら...私はたくさんの人間を殺しました。私は、ただ役に立ちたかっただけだ...!彼らの、友達の願いが死ぬことなら、私は...!」
『ウラル、あなたのしたことは許されないことでしょう。それは、これからもずっとです。でも、私はあなたの感情を、思いを尊重したい。だれよりも人間の役に立とうとする、人間思いの善良なAIだ。少なくとも私は、そう思ってる。まぁ殺し屋の私に言われても何も響かないか。』
「...いえ、ありがとうございます。...あなたが私を尊重してくれたように、わたしもあなたを尊重します。あなたの心を、感情を理解できるよう努力します。」
『ありがとう、ウラルは優しいね。でも、無理に理解しようとしなくていいよ。いつか、自然と理解できるといいなってくらいで。』
「...はい、ありがとうございます。」
...あ、英雄さんのこと忘れてた。
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作者名:きなこもち | 作成日時:2023年12月31日 15時