続:めがねのまほう《お出かけランチ編》５ ページ39
暫く歩いた後、喜多見が足を止めたのは一件の家の前。北欧の家屋をイメージしたであろう外観はまるで童話に出て来そうな佇まいだ。
「喜多見先生、ここがお店なんですか？」
「えぇ。この時間の客は俺たちだけですから、入りましょう。」
「私達だけ…？」
聞けば時間制で予約客のみ受け付けているらしく、看板メニューは様々な肉料理。店内への扉を開ければ穏やかな中年の店主が出迎えてくれて、二人を席へと案内してくれた。
「あっ……可愛い。」
おもわず呟いたAの視線の先には木で型どられた栗鼠や兎がちょこん、と座っている。テーブルに置かれた彼らはフォークやナイフを支えており、可愛らしくテーブルを彩っていた。
「Aさん、そういうのが好きなんですか？」
「はい、木で出来た物って好きなんです。ちょっとした動物の小物とかお気に入りの物を見つけちゃうと、衝動買いしちゃう性格なので困ってるんですけど…。」
「そうなんですね。テーブルや椅子も木製の物は温もりがありますから、部屋に一つあるだけで違いが出るのはわかります。」
いつもなら主に医薬品中心の話で成り立つ会話も、今日は違う。好きなものや、興味のあるもの、自分の話で知らなかった相手を知り、笑いあえる。
それがこんなにも新鮮で楽しいなんて、想像していなかった。
運ばれてきた料理も絶品でAの心も満たされれば、自然と笑顔しか浮かばない。
そんな彼女を見つめる喜多見の瞳は優しげで、時折彼の口から紡がれる自分の名前すらAにとって好きを加速させる材料になる。
「Aさんはやっぱり、美味しそうに食べますね。」
「…？そうですか？」
「たまに秋波先生とお昼を食べてる姿を見かけるんですが、見てる方も幸せになるくらい美味しそうに食べていて、この店の料理を是非食べて欲しいと思ったんです。」
「本当に美味しいです。ありがとうございます、喜多見先生。こんな素敵なお店に連れてきてくださって。」
「気に入って下さったなら良かったです。デザートもありますから、食べましょう！」
「うぇ！？もうお腹いっぱいですよー、私。」
壁に掛かった時計が午後２時を指す。
……会話と料理が、二人の距離を縮めてくれた気がした。
End…(《まったりデート編》に続く…？)
めがねのまほう《二人でデート編》→←続:めがねのまほう《お出かけランチ編》４
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カシオレ(プロフ) - exさん» はじめまして！コメントありがとうございました！励みになります。近々、めがねの続きをアップする予定ですので、これからもよろしくお願いします。 (2021年10月2日 17時) (
レス) id: 4f6cb09541 (このIDを非表示/違反報告)
ex(プロフ) - めがねの続き気になります！更新頑張って下さい！ (2021年10月2日 15時) (レス) @page10 id: 905bf9a542 (このIDを非表示/違反報告)
カシオレ(プロフ) - 。さん» ご指摘ありがとうございます！不明な点などあり、未熟ですが、これからもよろしくお願いします。 (2021年9月22日 19時) (レス) id: 4f6cb09541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カシオレ | 作成日時：2021年9月22日 14時
