頑張る君に、幸運を。３ ページ18
「ご遺族の方に何か言われた？」
「いいえ……。」
「…なら、他の先生に何か言われたりは？」
左右に首を振る彼女。
初めて自分の担当研修医として彼女を紹介された時、この子は優しく純粋な医者になるだろう…と、Aは直感で感じた。
その直感は当たり、共に学ぶ日々の中で彼女は患者に寄り添う心がずば抜けて秀でていると思っている。
それはある意味、才能だ。
どんなに手に入れたくても、その技術(スキル)を習得出来ない医者もいる。
それをAも目の当たりにしているからこそ、いい医者になれる素質のある彼女には、医者の道を進む事を諦めて欲しくない。
「私もね、インターンだった時は貴女と同じ事を感じたよ。」
「……！先輩が、ですか？」
「勿論。私も新米の頃、同じ日に二人亡くなってしまった時があってね。…あの時は凹んで医者をその日の内に辞めようかと思ったくらい。」
空を見上げながらAは思い出す。
亡くなってしまった二人の患者のうち、高齢男性だった一人はAの初めて受け持った担当患者であり、長い期間治療に関わらせてもらった。
亡くなってしまった後、今隣りにいる彼女と同じようにこの屋上で声を押し殺して泣いたのは忘れられない出来事で、当時の自分には支えてくれた“同期の医者”がいた。
「あのね、個人的に貴女みたいに“死に真正面から向き合うタイプ”は、良い医者になれると思うの。知識とかの話じゃなくて、倫理的にね。」
「ありがとう、ございます…。」
「だから、私はもし貴女が医者を諦める選択をしたら悲しいな。」
「………っ。」
「でも、選択は貴女に権利がある。だから私には引き止める権利はない。」
選ぶのは、自分自身。
医者は命を現場で救うだけではないのだし、研究の道だってある。
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カシオレ(プロフ) - exさん» はじめまして！コメントありがとうございました！励みになります。近々、めがねの続きをアップする予定ですので、これからもよろしくお願いします。 (2021年10月2日 17時) (
レス) id: 4f6cb09541 (このIDを非表示/違反報告)
ex(プロフ) - めがねの続き気になります！更新頑張って下さい！ (2021年10月2日 15時) (レス) @page10 id: 905bf9a542 (このIDを非表示/違反報告)
カシオレ(プロフ) - 。さん» ご指摘ありがとうございます！不明な点などあり、未熟ですが、これからもよろしくお願いします。 (2021年9月22日 19時) (レス) id: 4f6cb09541 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カシオレ | 作成日時：2021年9月22日 14時
