榎本径の奥さんになってからも

十二話 ページ12

…あたしの顔を、イタズラっぽく微笑みながら覗きこむ径…

…も、もぉっ!!そんな目で、見ないでよ〜!!
なんか、変にドキドキしちゃう…

あたしは慌てて、俯いた…！
…だって…そんな瞳で見つめられたら…
その瞳に囚われて…何も考えられなくなる…

A｢ご飯の仕度…するね！｣

径｢…はい♪」

そんなあたしの気持ちを見透かすように…径は涼しい顔をしてふんわりと、笑った…


A｢お待たせ〜♪｣

お皿いっぱいのカニクリームコロッケと、ホウレン草のサラダ…トマトのスープをテーブルに並べる…

リビングのソファに目をむけると、きいを抱き上げる径の姿…
径が帰ってきたのが、よっぽど嬉しいのか…笑いっぱなしのきい…(笑)

径｢…いただきます…」

もくもくと、あたしの作ったカニクリームコロッケを頬ばる径に…胸がほんわか、あったかくなる…

A｢美味しい？｣

径｢はい…♪｣←笑

径の…意外に幼い、丸いほっぺを見つめながら…微笑むあたし…

…結婚前と変わらない…いつもあたしの料理を美味しいって言ってくれる径…
この瞬間が、たまらなく幸せ…♪

A｢径♪今日の仕事はどーだったの？疲れた？｣

径｢いえ…たいして疲れていません…簡単なミーティングに参加しただけで…実に安易なものでした…｣←あ〜、あのミーティングですね…笑

顔色一つ変えずに、淡々と話す径…
その横顔があまりにもキレイで…思わず、見とれてしまう…←えっ!?ふーふですよね!?笑

径｢…そう言えば…｣
ちょっと思い出したように、径の賢そうな眉がピクリと動く…

径｢さっき…また、隣の方と会いました…｣

A｢ええっ!!でっ!?な、なんか話したの!?｣

径の言葉に、びっくりして…あたしは慌てて問いかける…！

…西園寺さん…径に、なんか、言ったの…？

径｢…いえ、別に…お仕事、大変ですね…みたいなことを言ってましたが…」

特に、西園寺さんには興味もなさそうに…径はホウレン草を口に運ぶ…

…西園寺さん…心臓に、悪いよ…←笑

A｢そっ、そう…」
ホッと胸を撫で下ろしたけど…あたしはなんだか気になって、径の横顔に問いかけた…

A｢…ねぇ？径…？｣

径｢はい？｣

A｢…お隣りの…西園寺さん…キ、キレイな人…だよね？｣

ドキドキしながら径の顔色を伺うあたし…！
思わず…きいを抱きしめる腕にも、力が入る…
…ゴメン、きい…(笑)

…径の瞳があたしの瞳を見つめて…
…その形のいい唇が、ゆっくりと動く…

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