幸せはきっと僕の手の中に…2

55話 健太 ページ6

…守にひやかされながら、スタジオを出ようとする俺…
そんな俺の襟首をギュッと掴む手に、首がしまりそうになって思わず声をあげる…

健太｢…ぐえっ!!…な、なんだよ…！｣

…掴まれた襟首を気にしながら、後ろを振り向くと…そこには…

健太｢…!!!!…ま、真鍋、さんっ!?｣

真鍋｢…な〜に？矢野くん…いいことって？｣

…俺の襟首を掴んだまま、意味ありげに笑う真鍋さんの姿が、そこには…あった…

…このキツそうな女の人…真鍋さん…
もとはと言えば、この人が面接ん時俺のことを不採用にした人…
ま、その後連絡してくれて採用にしてくれたのもこの人なんだけど…

…俺達の番組の…鬼の(笑)プロデューサー様…だ…

…俺と守は思わず青くなる…笑

健太｢…べっ、別になんでも、ねーよ…｣
守｢…そう！…なんでも…ない、です…｣

声を揃えて答える俺達…笑

…真鍋さんに…彼女がいるなんてバレたら…どーなることかっ!?

真鍋｢…あんた達…まさか、歌のお兄さんの三箇条…忘れてないわよね…清く、正しく、美しく！タバコ、繁華街への出入り、女の子とのお付き合い…してないでしょうね…！｣

健太｢……して、ません…｣
守｢してません！｣

真鍋｢…よろしい…｣

…声を揃えて頷く俺達を見て、真鍋さんは腕を組みながら満足そうに微笑んだ…

健太｢…もっ、もし…彼女が…もし、彼女ができたら…どーするんスか…｣

…まさか…歌のお兄さん…辞めろ、とか…？

…ちょっと不安になりながら、俺は真鍋さんに問いかける…
そんな俺の言葉に、黒髪を揺らしながら…クルリと振り向く真鍋さん…

真鍋｢…な〜に、まさか…矢野くん…｣

健太｢…ちっ、ちげーよ!!も、もしできたらのハナシだよっ!!｣

…真鍋さんに悟られないよう、慌てて答える俺…笑
そんな俺を疑いの眼差しで見つめながら…真鍋さんはサラリと答える…

真鍋｢そうね…結婚しちゃいなさい…♪｣

健太｢ケッ、ケッコン!?｣

まさかの真鍋さんの言葉に、びっくりして声が裏返る…！

真鍋｢そうよ…彼女はダメだけど、奥さんならオッケー♪…なんたって、歌のお兄さんはイメージが大事だからね♪｣

…イ、イメージって、そーだけどよ…
い、いきなり…ケッコンなんて…ハナシ、飛びすぎじゃねーか!?

…そりゃあ…ケッコンするなら…アイツとが…いい…
Aと…したい…

…真鍋さんと守に顔を覗き込まれても…俺は気付かず、アイツのことばかり考えてた…

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