幸せはきっと僕の手の中に…

９話 ページ9

A｢…やったぁ…♪｣

…健太さんと別れ、人混みの中を歩きながらあたしはギュッとケータイを握りしめて呟いた…

…連絡先…聞けた…♪

嬉しすぎて、道行く人にぶつかっては、謝るあたし…笑
でも、最高に嬉しくて、幸せで…見知らぬ人にも優しくしてあげたい気持ちが胸いっぱいに広がっていた…。

…夢…みたいな時間、だったなぁ…

さっきまで一緒にいた健太さんを思い出して、思わず顔を赤くするあたし…

…彼の仕草、表情ひとつにさえ…ドキドキしてしまう…

タバコに火を点ける意外にキレイな指先…タバコを吸う時の細められた瞳…その仕草が、表情が男の人って感じで…ドキドキする…

かと思えば、ハンバーグを食べる無邪気な顔…照れたように笑う、彼のふとした瞬間に見せる子供みたいな笑顔に…ドキドキする…

…それに…

『ばかっ！…そんな、慌てて食うなよ…待ってっから…』

…凄く…優しいんだ…

…言葉使いはちょっと乱暴だけど、食べるのが遅いあたしに気を使ってくれた彼…
その優しいところにも…思わずキュンとする…

A｢…健太さん…かぁ…｣
登録された電話帳を見て、微笑むあたし…

…まだ会ったばっかりなのに…
こんなに一瞬で、恋に落ちるなんてこと…
本当に…あるんだ…

…思いがけず、就職活動が大変だとか、お家が工場やってることとか、お父さんがウルサイとか(笑)、お姉さんがなかなか結婚しないとか(笑)…色々なことが聞けて、嬉しかった…♪

…でも、もっと…今度は、健太さん自身の話しを聞きたいなぁ…
…健太さんのこと、健太さんの考えてること…もっと、知りたい…

…何故だか分からないけど…
時折みせる…寂しげに揺れる眼差しが…気になって…

…ちょっとやんちゃに見える彼だけど、本当は色々なことを考えてるのかも…
そう思うと、ますます気になって…仕方ない…

登録された電話番号とメールアドレスを見ながら、あたしはぼんやりと考える…

…でも！また、会えるんだ…健太さんに…！
…って言っても、断られるかもしれないけど…←笑

次、健太さんが会ってくれたら…もっと、色々なこと…聞きたいな…
もっと…仲良く、なれたらいいな…♪

胸の奥が、ドキドキするような…でも、あったかい気持ちに包まれながら…
宝物を扱うみたいに…
あたしはケータイをそっと、握りしめた…

10話→←８話 健太

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す