幸せはきっと僕の手の中に…

８話 健太 ページ8

彼女のキラキラした笑顔に、思わず見とれる俺…
そんな俺に構わず、彼女は嬉しそうにケータイを取り出した。

A｢…じゃあ…聞いても、いいですか…番号とメール…｣

健太｢お、おう…！｣

ケータイの番号とメールを交換する俺達…
なんだか、こんな気持ち…久しぶりで恥ずかしくなる…

A｢…できた♪｣

登録が終わると、彼女は嬉しそうにケータイを握りしめて俺を見上げる。

A｢じゃ、早速メールしますね♪｣

健太｢お、おう…｣
…さっきから、｢おう…｣しか言ってない…笑

なんだか、急な展開に戸惑う俺…

…まぁ、いっか…カワイイから…←また言ってる…笑

A｢…今日は、ありがとうございました♪…また、会えるの楽しみにしてます♪｣

そう言って、彼女はふわふわの髪を揺らして頭を下げる…
そうして、小さく手を振り帰っていった。
弾むように歩く後ろ姿が、なんだか可愛くて俺は暫く、その後ろ姿を見送った…。

…今、登録したばかりの電話帳の画面を見つめながら、俺はぼんやりと呟く…

健太｢…A…かぁ…｣

…出会ったばっかりなのに、メシに誘ったり、番号交換したり…
これって…
ナンパじゃんか…!?

ま、まぁ…あんなカワイイ子に誘われて、悪い気はしねーけど、さ…

…つーか、俺のこと、好き？なのかなぁ…？

そんなことをぼんやりと思いながら、俺はまた彼女の後ろ姿を見つめる…

人混みを歩くのが、慣れてないのか…道行く人にぶつかっては、謝りながら歩いている彼女を見て、思わず吹き出してしまう…

健太｢…ヘンな…女…笑｣

久しぶりの…胸があったかくなるような気持ちを感じながら…俺も彼女に背を向けて、歩き出した…。

…でも、今はこんなことしてる場合じゃねーし…
働き口も見つかってないし、また、親父にどやされる…笑


…それに…決めたんだ…
暫く、そーゆーのは…いいって…

…あんなツライ思いを、するくらいなら…

…別に俺は…一人でいい…

特別な誰かなんて…
俺には……

いらねー…。


…ポケットに突っ込んだ手を、強く握りしめて…俺はまた、空を見上げた…

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